【台北=矢板明夫】来年1月13日投開票の台湾の総統選挙は24日、立候補届け出が締め切られ、選挙戦が本格的にスタートした。
与党、民主進歩党からの政権交代に向けて最大野党、中国国民党と第2野党、台湾民衆党が目指した候補一本化の協議は決裂。野党の分裂により選挙戦は、民進党候補の頼清徳副総統(64)が優位に進めるとみられる。
頼氏のほか立候補を届け出たのは、国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(66)と民衆党主席の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長(64)。選挙戦は三つどもえの構図で、各種世論調査の支持率では頼氏が4割弱で首位を走り、侯氏と柯氏が2割前後で追う展開だ。
国民党と民衆党は10月以降、統一候補の擁立を目指して協議。23日も調整したが、物別れとなった。柯氏は24日午前、中央選挙委員会で立候補を届け出た後、「少子高齢化や労働者不足などを解決し、若者のために台湾の未来を取り戻す」と強調。その後届け出た侯氏は「厳しい戦いになるが、台湾を良くするために最後まで戦い抜く」と語った。
頼氏は21日に立候補手続きを済ませている。この際、「親中の道を歩まない。国際社会の一員としてしっかり責任を果たしたい」と語った。
副総統候補にはそれぞれ、頼氏が駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)代表を務めた蕭美琴(しょう・びきん)氏、侯氏は国民党の元立法委員(国会議員)で著名なテレビキャスターの趙少康氏、柯氏は女性実業家でもある立法委員の呉欣盈(ご・きんえい)氏を選んだ。
選挙戦の主要な焦点の一つは中国政策。頼氏は日本や米国との関係を重視し、中国と距離を置く一方、野党2候補は中国との関係改善を訴えている。頼氏の21日の「親中の道を歩まない」との発言に対し
野党は「戦争をあおっている」と批判している。