G7首脳は、ロシアによる核の威嚇を非難し、「核のいかなる使用も許されない」と表明。核軍縮の継続を強調する文書「首脳広島ビジョン」を出し、その中で中国を名指しして、「透明性を欠いた、加速している核戦力の増強」への懸念を示した。
インド太平洋情勢では、連携して中国を抑止しつつ、対話を継続し、自由で開かれたインド太平洋を支える方針を明確にした。
これに先立ち19日午後のウクライナに関する協議では、岸田首相が「G7が結束し、ウクライナへの力強い支援と厳しい対露制裁を継続していくことが不可欠だ」と呼びかけた。
G7首脳が結束、ロシアの核威嚇「危険で受け入れられない」…ウクライナ支援継続・AIルール作り一致
平和記念公園で記念写真に納まる各国首脳ら(19日午後、広島市中区で)=代表撮影
先進7か国首脳会議(G7サミット)が19日、広島市で開幕した。G7の首脳が、被爆の実相を伝える広島平和記念資料館を訪れ、核軍縮・不拡散の方策を議論した。
ウクライナを侵略したロシアによる核兵器の使用の威嚇は「危険で受け入れられない」との認識を共有し、「核兵器のない世界」に向けた取り組みの重要性を発信。
ウクライナ支援の継続や、人工知能(AI)の国際ルール作りに関する連携で一致した。
ワーキングランチ冒頭であいさつする岸田首相。右はバイデン米大統領、左はマクロン仏大統領(19日午後、広島市南区で)=代表撮影
広島サミットは、岸田首相夫妻が資料館のある平和記念公園で、米国のバイデン大統領夫妻らを出迎えて始まった。核保有国の米英仏を含むG7首脳がそろって資料館を訪れるのは初めてで、約40分間滞在した。
館内では、岸田首相が被爆者の遺品や写真などを説明。G7首脳は被爆体験を英語で世界に発信してきた小倉桂子さん(85)の話に耳を傾けた。続いて、原爆死没者慰霊碑への献花を行った。

世界遺産・ 厳島 神社がある宮島(広島県廿日市市)に移動して行った19日夜の「外交・安全保障」の討議では、岸田首相が重視する核軍縮・不拡散や、台頭する中国への対処を含むインド太平洋情勢を取り上げた。
G7首脳は、ロシアによる核の威嚇を非難し、「核のいかなる使用も許されない」と表明。核軍縮の継続を強調する文書「首脳広島ビジョン」を出し、その中で中国を名指しして、「透明性を欠いた、加速している核戦力の増強」への懸念を示した。
インド太平洋情勢では、連携して中国を抑止しつつ、対話を継続し、自由で開かれたインド太平洋を支える方針を明確にした。
これに先立ち19日午後のウクライナに関する協議では、岸田首相が「G7が結束し、ウクライナへの力強い支援と厳しい対露制裁を継続していくことが不可欠だ」と呼びかけた。
G7首脳は、必要な限りのウクライナ支援を申し合わせ、ウクライナに特化した声明も出した。ロシアに武器などを供給する第三国に即時停止を求め、侵略に重要な役割を果たす品目の輸出規制の強化を打ち出した。
この日は、インターネット上のデータを使って文章などを作る「生成AI」も主要議題となった。各首脳は、閣僚レベルで、著作権侵害や偽情報対策など生成AIが抱える課題に関する見解を集約する「広島AIプロセス」に着手することで合意。期限は年内とした。
サミットは21日までの3日間。計10回のセッションが設けられ、初日は3セッションを行った。20日には、経済安保や食料安保などが議題となる。インドやオーストラリアなど招待国8か国の首脳も参加する。
米ホワイトハウスによると、サミットにあわせ、日米豪印4か国の枠組み「Quad」(クアッド)の首脳会談を開催する。サミット最終日には、成果をまとめた首脳声明を出す予定だ。