ベトナムとフィリピンで「反中デモ」が再燃--中国はでていけ」「スカボロー岩礁から立ち去れ」
ドゥテルテ大統領はフィリピン領海のスカボロー岩礁が中国に盗まれ、ハーグ國際裁判所が「中国の言い分には根拠がない」という判決をだしたにも関わらず、中国に厳重な抗議せず、むしろ中国から援助を獲得するという狡猾な外交を展開した。
二年間のドゥテルテ大統領の対中外交は一定の成果をあげたかに見えた。
漁場を失った漁師らは執拗に政府に抗議し、フィリピン外交の弱腰を批判してきた。
しかしドゥテルテ大統領は「中国と戦争をしたら勝てるはずがない」「中国から物資が輸入できなくなり」「出稼ぎ労働者が中国で解雇され」「バナナは陸揚げを拒否されて腐ったではないか」と、むしろスカボロー沖合の資源開発を共同で行うアイディアを振りかざし、習近平とは何回もの会談をこなした。
またミンダナオのイスラム都市マラウィの復興には中国資本の参入を歓迎する。
▲フィリピン政府はパシフィズム
しかし、スカボロー岩礁に中国軍が軍事施設を構築して以後、「近海から魚がいなくなった」と漁民が訴える。「もぅあそこは漁場ではなくなった。昔のように豊かな資源の漁場に戻して欲しい」。
ところが中国とフィリピンの沿岸警備隊が共同パトロールすることで合意した沿岸警備活動も、いまでは「フィリピンの警備艇はいない。付近をパトロールしているのは全部、中国の艦船だ」と地元漁民はフィリピンのテレビのインタビューに答えている。
フィリピンの民衆は立ち上がって「スカボロー岩礁から中国は立ち去れ」のスローガンを掲げ、マニラ市内て反中デモを展開した。
2009年制定の「フィリピン基本法 第9522号」にはスカボローはフィリピン共和国の領土と明記されている。
一方のベトナム。
一党独裁の全体主義国家でもあるベトナムは、中国との友好関係を謳い、中国企業の工業団地を提供するとして以来、反中抗議デモが全土で展開されている。
デモ隊は中国企業の工場に繋がる高速道路を塞ぎ、ホーチミンから始まったデモは、ダナン、ハノイへと伝播した。またたくまに数千の労働者らが抗議の列に加わり、台湾企業まで巻き添えをくらって、生産活動が停止した。
▲ベトナムの反中暴動の背後にあるもの
ベトナムでは2014年に大規模な反中暴動が発生し、中国人に死傷者がでた。ベトナムの怒りはスプラトリー諸島領海に展開される中国の海洋リグ開発を巡って、中国海軍がベトナムを威嚇し漁船を追い払い、何隻かを沈没させ、そのうえ近くに島にミサイル基地を建設したからだった。
2018年のデモは、ベトナム共産党が中国企業用に特別団地を三箇所、99年租借という条件で提供するという議会の動きに反撥しておこった。
これら工業団地創設プロジェクトは、総計68億7000万ドルの投資となり、またヴィンタン水力発電所の建設も中国がオファーしているが、総工費は17億6000万ドル。
くわえて貿易関係ではベトナムの出超がつづき、そのうえに中国からの観光客と、マンション建設などへの投資が顕著なった。表向き、中国の侵略行為を非難しながらも、投資と貿易は歓迎という二枚舌がベトナム政府の姿勢だった。
「中国は交易増大、輸出の拠点が欲しい。ベトナムは中国の投資と金が欲しい」(ロバート・ロス、ボストン大学教授)。
したがって民衆の怒りをもっともしながらも、ベトナム政府は都市部での抗議行動には弾圧をもってのぞみ、百名の抗議デモ参加者を逮捕した。ハノイの中国大使館が「在ベトナムの中国人の生命と財産を守るようにk」との要請に応えたからだ。
民衆の反中抗議デモの目的は「ベトナム領土から中国を叩き出せ」「中国に一寸の土地も渡すな」だが、実際は反中行動というよりも、全体主義独裁のベトナム共産党批判が、真の目的である。
共産党支配層は、そのことを熟知しており、最近はネットの監視を強めて、反政府言論を厳しく取り締まり、言論空間を圧殺しつつある。
ベトナムが最近議会を通過させた「サイバー・セキュリティ法」はフェイスブックやグーグルに対して、データの蓄積はベトナム国内で行えとしている。
ベトナム議会は「99年租借を認める」法案審議を秋に延ばして抗議デモとの妥協を図った。