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【中国軍事情勢】中国の侵攻想定、台湾「漢光35号」演習の“本気度”
2019.6.5 01:00プレミアム

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5月28日、台湾中部・彰化県の高速道路から離陸する台湾空軍のF16V戦闘機(田中靖人撮影)

 台湾の国防部(国防省に相当)は5月27~31日、中国からの侵攻を想定した年次演習「漢光35号」の実動演習を実施した。蔡英文(さい・えいぶん)政権の発足以降、特に強まる軍事的圧力を受け、今年は報道陣への公開を増やし、市民の安心感を高める努力が随所にみられた。

台湾海峡を挟んで中国の脅威を間近に受ける台湾の軍事演習のシナリオは、報道公開用であっても細部まで作り込まれていた。
(台北支局 田中靖人)

■代替滑走路で離着陸

 中部・彰化県では28日、高速道路を代替滑走路として戦闘機を離着陸させる訓練が行なわれた。国防部は、緒戦に弾道ミサイルなどの攻撃で空軍基地内の滑走路が破壊されることを想定し、彰化と南部の嘉義、台南2カ所、屏東の計5カ所を「戦備滑走路」に指定している。うち屏東は高速道路ではなく一般道(省道)だ。

 訓練では、戦闘機3機種各1機と早期警戒機E2Kの計4機が着陸後、燃料や弾薬を補給して離陸していったが、補給は「丸腰」で行なわれたのではない。長さ2685メートルにわたって封鎖された直線道路の脇には、対空機関砲や地対空ミサイルのスパロー、パトリオットのPAC2、PAC3が配備され、対空警戒に当たった。

 弾道ミサイル防衛能力を持つPAC3は、政治・経済の中枢を防衛するという任務があるはずで、実際の有事に代替滑走路に配備されるのかは疑問もあるが、最新鋭装備を見せることで市民に安心感を与える狙いがあるとみられる。

 また、道路周辺に中国軍のゲリラ部隊が進出することを想定し、周辺上空では攻撃ヘリAH1Wや無人機が警戒。中国側の無人機の操縦を妨害する装置も配備した。戦闘機に補給する燃料は油送車で運び、弾薬は大型輸送ヘリCH47で持ち込んだ。代替滑走路上での補給作業が、警戒部隊も含めてパッケージ化されている印象だ。

弾薬に関しては、F16V戦闘機にハープーン対艦攻撃ミサイルが、自主開発の防衛戦闘機(IDF)「経国」に対地攻撃用爆弾が、ミラージュ2000に空対空ミサイルがそれぞれ補給された。

 戦闘機は機種別に想定される役割があり、当然ながら、それによって兵装も異なる。各戦闘機の任務に応じた弾薬を補給する訓練が組み込まれたことは、代替滑走路の維持が、防空任務だけでなく、全体的な台湾防衛構想の中で重要な位置付けを担っていることを示すものだ。

 一方で、疑問を抱く場面もあった。

 この日は蔡英文総統が視察に訪れ、補給作業中の作業員や飛行要員を激励するなどしたため、訓練の全行程に1時間20分を要した。

だが、2017年12月の軍事学術誌「海軍学術」に掲載された中国軍の弾道ミサイル部隊に関する論文によれば、台湾正面に大量配備されている短距離弾道ミサイル東風(DF)15=最大射程600キロ=は、発射後の再装填時間は30~40分、飛翔時間は6~7分と見積もられている。つまり、第1波と第2波のミサイル攻撃の間には50分弱ほどの時間しかないないとみられる。

 戦闘機の着陸地点が敵側に露見した場合、第2撃が着弾するまでに着陸した戦闘機は、極めて短時間で弾薬を補給して再び離陸させなければならない。この時間を把握し、より実戦に即した訓練を行うためにも、補給時間を長引かせる結果となった総統の視察は、訓練終了後にすべきだったのではないか。


■上陸阻止演習

 30日には、南部・屏東県の海岸で、中国軍の上陸侵攻を阻止する演習が公開された。蔡政権は2017年、防衛構想を前政権の「防衛固守、有効抑止」から「防衛固守、重層抑止」に転換した。

敵を「(1)対岸で拒み(2)海上で攻撃し(3)水際で撃破し(4)海岸で殲滅する」という方針で、この演習は(3)と(4)(水際撃破、海岸殲滅)を実演するものだ。

 想定では、上陸部隊を載せた「敵船団」が屏東地区の沖合40キロに停泊するとしていた。これは従来の想定よりやや遠く、新型の071型(玉昭級)強襲揚陸艦を想定したものとみられる。

これまでの論文では、中国の上陸作戦は、海岸から30~20キロ沖合で揚陸艦や輸送艦から水陸両用戦車や上陸用舟艇に乗り換え、数波に分けて徐々に接近、約8キロ沖から海岸に突撃すると想定されていた。

 今回の演習では、海岸から沖合に10キロ、6キロ、4キロ、3キロ、1・2キロ、1キロ、800メートル、100メートルにそれぞれ兵器別に「目標区」を設定。

海軍のフリゲート艦やミサイル艇、自主開発した多連装ロケット「雷霆(らいてい)2000」が10キロ先を、空軍のF16やIDF、陸軍の火砲が6キロ先を、陸軍の攻撃ヘリAH64アパッチが4キロ先をそれぞれ目標とするなどして、上陸用舟艇が接近してくるとの想定で順次、実弾射撃を行なった。

興味深いところでは、攻撃ヘリや米国から購入したジャベリン歩兵携行式ミサイルなど、対戦車用の兵器を対上陸用舟艇に使用している点で、上陸前の撃破を重視していることがうかがえた。


 火砲や戦車の陣地配備は報道公開用に密集しており実戦的ではないものの、陸海空軍が同じ作戦を連携して行なう模様を公開した。これは、防衛構想が実際の運用上も実現されていることを示す意図があったとみられる。



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天安門事件30年 中国当局が「追悼」封じ込め 透析患者を山間地で軟禁も
2019.6.4 21:23


きききき
 隣接する天安門広場の国旗掲揚を見るため、天安門前に集まった人たち=4日、北京(AP=共同)

 【北京=西見由章】中国当局が民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件から30年を迎えた4日、北京の天安門広場周辺では武装警察や警察犬が出動し厳戒態勢が敷かれた。当局の厳しい規制によって現場での追悼や抗議活動はなく、広場の入り口にある検査場では海外メディアの記者らが足止めされ、追い返されていた。

 中国当局の取材規制に対し、北京在住の特派員らで組織する「駐華外国記者協会」(FCCC)は4日、海外メディアが天安門広場で取材するのを根拠なく禁じたとする声明を出した。

 天安門事件を知る民主活動家らは4日を前に、当局によって北京から遠ざけられた。事件当時、建設労働者として現場に居合わせ、広場近くで戒厳部隊から銃弾2発を浴びて左足を切断した斉志勇さん(63)とも5月下旬に連絡が取れなくなった。

 記者(西見)が、腎不全の斉さんが人工透析を週3回行う病院を訪ねると、透析を終えた斉さんが疲れ切った様子で出てきた。5月20日から「家族で山間地に軟禁され」、透析時だけ警察車両で病院に連れて来られるという。事件後、当局の脅迫や暴行を受けながら犠牲者の名誉回復を求めてきた斉さんは「この30年、多くの苦難があった。でも絶対に闘いはやめない」とつぶやき、警察車両に乗せられていった。

 民主化運動を主導した学生21人の一人として指名手配され、3年間服役した馬少方さん(54)も4月、実家のある江蘇省揚州に戻るよう警察に求められ、今も監視状態が続く。電話取材に「公民の権利や自由を認めない社会では常に人々が権利を求めるデモが起こりうる」と語った。


 民主活動家の胡佳さんは4月3日に軟禁が始まり、5月28日からは河北省への「旅行」を強制された。遺族グループ「天安門の母」創設者の丁(てい)子(し)霖(りん)さんも北京を離れるよう求められた。

 中国は事件の正当化を図る。共産党系の環球時報は4日付で「30年前の中国社会は痛い予防接種をしたようなものだ。重大な政治的過ちを出現させない免疫力がついた」と主張した。



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