ポンペオ米国務長官は8日の記者会見で、中国による沖縄県・尖閣諸島周辺海域への領海侵入や南シナ海への進出を挙げ「中国は領土紛争をあおっている。世界はこのいじめを許すべきではない」と述べ、世界各国が一致して対抗する必要があると訴えた。
ポンペオ氏は会見で、中国の海洋進出や、インドとの係争地域で起きた衝突などの国境紛争を挙げ「中国が主権を尊重すると満足に言える隣人は多くない」と指摘。「世界はこの動きに対応するために結集しなければならない」と呼び掛けた。
また、新型コロナウイルス感染拡大に関して「中国の説明責任が問われている」と強調。感染症の起源を究明するため今週末にも中国入りする世界保健機関(WHO)の調査団に自由に調査させるよう中国に要求した。(共同)
尖閣追跡で中国報道官「騒ぎ起こすな」 日本に責任転嫁
【北京=西見由章】尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入した中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、中国外務省の趙立堅報道官は11日、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて「違法な妨害を行った」と非難し、「日本は釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と述べて責任を日本側に転嫁した。
趙氏は、外交ルートを通じて日本側に「厳正な申し入れ」を行ったことを明らかにした上で「中日両国は力を集中して(新型コロナウイルスの)感染症と戦うべきだ」と発言した。
趙氏は「中国の領海で違法操業」している日本漁船を発見した中国海警局の船が「法に基づいて追尾・監視」したと主張。「釣魚島の海域を巡航することは中国側の固有の権利だ」と強調した。
「民度は高い」のに…領土を危うくする政治の不作為 下條正男・拓殖大教授

麻生太郎副総理兼財務相は6月4日、新型コロナウイルス感染対策に関連して、日本の死者が少ない理由として「民度のレベルが違う(高い)」とした。これは裏返せば、日本では政治が不作為であっても、国民がその不足分を補ってきたということだ。だが、外交はその補完が難しい。現に竹島問題や拉致問題が解決しないのは、日本外交がほぼ不作為だったからである。
対外広報すれば問題が解決するという錯覚
その日本では今、尖閣諸島周辺で中国による挑発が続き、5月8日には日本漁船が中国海警局の船に追跡されるという事案が起きている。国会ではその映像の公開をめぐって、担当大臣と議員の質疑があった。
それは、映像の公開が尖閣問題の解決に結びつくと考えたからだろうか。不作為も問題だが、国会議員らによる軽挙妄動も国を誤る元凶となるのである。