
【ソウル=桜井紀雄】来年3月の韓国大統領選に向け、保守系最大野党「国民の力」の公認候補に5日選出された尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長の支持率が4割台に急上昇し、
革新系与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)・前京畿道(キョンギド)知事を10ポイント以上引き離した。
予備選への関心の高まりを受けた一時的な現象との見方もあり、尹氏が本選まで高い支持率を維持していけるかは未知数だ。
韓国社会世論研究所が8日発表した世論調査結果によると、尹氏の支持率は前週より10・6ポイント上昇し、43%を記録。
李氏は2ポイント下落し、31・2%と差が開いた。研究所側は「党の予備選終盤、競争が熾烈(しれつ)となり、支持層の関心を強く引いた影響が一時的に反映された」と分析している。
7日に発表された別の世論調査でも、尹氏が45・8%の支持率を獲得し、30・3%の李氏を引き離した。尹氏への支持率が低いとみられてきた20代でも33・6%が支持し、李氏(23・9%)を上回った。
党の公認候補に決定すると、期待感から通常、支持率が上がるとされるが、李氏は10月の公認候補選出直後も下落傾向が見られた。京畿道城南(ソンナム)市長時代の都市開発事業をめぐる不正疑惑で李氏の責任を問う声が収まらないからだ。
不正疑惑が払拭できないのは尹氏も同じで、検事総長時代に判事の個人情報を不正に収集した疑いで、捜査機関が捜査に着手していたことが8日、判明した。
尹氏に批判的な与党関係者らの告発を野党側に促すなどした疑いでも捜査が進んでおり、捜査の展開次第では打撃になりかねない。
国民の力の予備選で尹氏に敗れた洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員は8日、「不正の容疑者同士が対決する非常識な大統領選になり、誠に残念だ」と交流サイトに書き込み、李、尹両候補を皮肉った。