25日の衆院憲法審査会で焦点が当たった「国民投票広報協議会」は、憲法改正のルールを定めた国民投票法に基づき設置される組織だ。
改憲発議から国民投票までの間、改憲の賛否両論をまとめた公報や新聞・放送広告などを介して国民の判断材料の提供を担う。緊急事態条項の新設など改憲候補が絞られつつある中、発議や国民投票を意識した事務的な作業も本格化しそうだ。
「広報協議会の組織や権限、残された法整備の課題について述べたが、これらは事務的な内容であり、速やかに(議論が)詰められると考えている」。自民党の新藤義孝氏はこの日の憲法審で、広報協議会を巡る各党間の合意形成に自信を示した。
公明党の北側一雄氏も「広報協議会の議論がなされていくと、(特に立憲民主党が問題視している)国民投票の広告規制を巡る議論の参考にもなる」と歓迎した。
広報協議会は憲法改正案の内容や賛成・反対の意見などを記した「国民投票公報」の原稿作成▽投票所に掲げる憲法改正案の要旨の作成▽放送・新聞広告を介した広報-などを担う。憲法審で取り上げられたことについて、自民関係者は「(緊急事態条項などの)改憲案作りを意識した前向きな動き」と解説する。
とはいえ、広告の掲載回数やインターネットを利用した広報の在り方、広報協議会事務局の人員などの細則は決まっていない。
また、事実に基づかない「フェイクニュース」の拡散を懸念し、「広報協議会にファクトチェック機能を持たせるか検討すべきだ」(国民民主党の玉木雄一郎氏)といった新たな提案もある。前例のない組織だけに、解決すべき課題は少なくない。(太田泰、内藤慎二)