「自分さえ思えば性別変更ができかねない。大きな社
会の混乱になる」
議連の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相
は会合でこう語り、現行制度の維持を訴えた。
性同一性障害特例法は性変更の審判を申し立てる要件
に、18歳以上▽結婚していない▽未成年の子供がいな
い▽生殖の機能がない▽身体的特徴が似ている―の5項
目を挙げており、規定を満たすには、性別適合手術を受
ける必要がある。
ただ、一部のLGBT団体や日本学術会議は手術要件
の撤廃を求めている。
性的少数者に関する法整備を提言する「LGBT法連
合会」は同法の要件について、「人権侵害の懸念が極め
て強い手術要件を中心に撤廃すべきだ」と主張する。手
術を必要とする法律の規定が合憲かどうかは家事審判で
も争われており、9月27日には最高裁大法廷で弁論が
行われる。
自民議連の会合ではLGBTの当事者らにヒアリング
を行い、手術要件撤廃に否定的な意見が相次いだ。
性別適合手術を経て、戸籍上の女性となった「性同一
性障害特例法を守る会」の美山みどり代表は、「自身の
性的機能に嫌悪感を持ち、医学的な救いとして手術した。
手術要件は(女性として)社会に信頼されるためだ。要
件の撤廃は認められない」と主張した。
バイセクシャルを公言する作家の森奈津子氏は「LG
BT活動家は性別適合手術を断種(強制不妊手術)で人
権侵害と主張するが、LGBT当事者は賛同していない。
活動家は当事者の代表ではない」と強調。過剰な性教育
に否定的な立場をとる「子どもたちの未来を繋(つな)
ぐお母さん連合会」の山崎恵共同代表は「手術すること
なく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親が生まれ
てしまう」として、授乳室などを共有することを懸念した。