米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡る訴訟で4日、沖縄県の敗訴が
確定したことを受け、政府はいまだ着手できずにいる予定地東側の埋め立て工事の早期開始を目指す。
ただ、玉城デニー知事が司法判断に従い、国が申請した工事の設計変更を承認するとは限らず、国によ
る承認の代執行も視野に入れている。
「沖縄県において判決に沿った対応が速やかになされるものと考えている」。松野博一官房長官は4日
の記者会見で県側にくぎを刺した。
東側の埋め立て工事は、軟弱地盤が見つかったため県が設計変更を承認する必要がある。国は勝訴を見
越し、承認後に速やかに土砂投入を始められるよう、係争中も工事の準備を進めてきた。防衛省幹部は
「法治国家で司法の判断に従わないことはあり得ない」と話す。
ただ、不承認処分は移設工事反対の「切り札」で、玉城氏が承認に転じるかは見通せない。
平成30年12月から埋め立て工事が始まった予定地南側約41ヘクタールの進捗(しんちょく)率は
今年7月末時点で98%に達している一方、東側約111ヘクタールにはいまだ土砂は投入されていない。
このため、全体の進捗率は16%にとどまる。
防衛省は令和元年末の時点で埋め立て工事と飛行場建設には着手から9年3カ月かかるとの試算を示し
ているが、県の対応次第で移設時期はさらに遅れかねない。
県は、2年4月に国が設計変更を申請した際も審査を1年7カ月も引き延ばし、不承認とした。約93
00億円と見積もる総工費が膨らむ可能性もある。
今後、県が引き続き承認しない場合、国は地方自治法に基づき、県の代わりに国土交通省が設計変更の
申請を承認する代執行に向けた手続きに入ることが予想される。防衛省関係者は県の対応について「非生
産的だ。沖縄自身の足を引っ張っている」と漏らす。(小沢慶太)