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イージス・アショア配備が本当に「平和に逆行」か 北朝鮮と同じ論法で非難する危うさ

イージス・アショア配備が本当に「平和に逆行」か 北朝鮮と同じ論法で非難する危うさ
 


  • イージス・アショアの取得経費などについて記者団に説明する小野寺五典防衛相(中央)=7月30日、防衛省
  • 4日、シンガポールで開かれた閣僚会議で北朝鮮の李容浩外相(右)と言葉を交わすポンペオ米国務長官。北朝鮮の非核化やミサイル廃棄などに向けた具体的な成果は見えてきていない(共同)
  • ルーマニアに設置されたイージス・アショアの施設=2016年5月(ロイター=共同)


 地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を秋田・山口両県に配備する政府の計画に対し、「朝鮮半島の緊張緩和に逆行する」などの批判が出ている。


北朝鮮側が日本政府を非難するだけでなく、日本国内のメディアや野党からも同じ論法の批判が飛び出す。


しかし半島情勢が再び緊迫化する可能性は十分あるし、日本を狙う北朝鮮の弾道ミサイルの脅威は何ら低減されていない。目先の緊張緩和で中長期の備えを怠るわけにはいかない。


 防衛省は7月末、イージス・アショア取得価格が2基で計2679億円になると発表した。これまで1基1000億円弱としていた見積もりを大きく上回った。従来のイージス艦よりも探知能力が倍以上の新型レーダーを選定したことが価格を押し上げた。


 この計画に対し、北朝鮮が激しく反応している。


緊張緩和の流れに逆行するからダメ-という論法の批判は、日本国内でも目立つ。


 朝日新聞は8月1日付の社説で、アショア導入は「ようやく芽生えた緊張緩和の流れに逆行」しているとし、費用対効果の面でも疑問があると指摘。


東アジア情勢が「新たな局面」に入っているとして「その時(運用開始)になって、巨費を投じた陸上イージスが無用の長物になっていないか。今こそ、徹底的な議論が求められる」と主張した。


 半島をめぐる軍事的緊張が緩んだのは確かだ。しかし、北朝鮮は核弾頭や、日本を射程に収めた数百発の「ノドン」や「スカッドER」の廃棄を始めたわけではなく、日本への脅威は何一つ変わっていない。


 それどころか、北朝鮮は今も弾道ミサイルの能力向上を図っているとの見方が強い。米ミドルベリー国際大学院モントレー校の不拡散研究センターは7月、衛星写真に基づく分析結果を発表。北朝鮮が北東部・咸興で、中距離弾道ミサイル「北極星2」を含むミサイル部品の製造施設の拡張工事を進めているとした。


 北極星2はノドンのような液体燃料ではなく、より短い時間で発射準備が整う固体燃料式。射程は約2000キロとされ、日本向けだ。つまり北朝鮮は、日本を狙う弾道ミサイルの性能を、さらに実戦向けにブラッシュアップしている可能性が高いということだ。



 「軍事大国化を進めようとする狡猾(こうかつ)な策略だ」


 「日本は軍事大国たらんとする野望から頭を冷まし、地域の平和に向けた流れに歩調を合わせるべきだ」


 北朝鮮の朝鮮中央通信のウェブサイトによると、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は7月28日の論評で、日本のイージス・アショア計画導入をそう非難した。


北朝鮮紙・民主朝鮮も6月26日付で「近隣諸国に重大な脅威をもたらし、朝鮮半島や北東アジアの平和を望む国際社会への挑戦だ」などと批判している。


緊張緩和が続くとも限らない。米朝協議が不調に終わり、今後、朝鮮半島で軍事的緊張が再び高まる可能性は「あり得るシナリオ」(外務省幹部)だ。


アショアは急いでも1基目の配備に6年かかる。目先のムードで備えを怠り、後で後悔しても遅い。


 さて、目先を中東に転じてみる。米トランプ政権がイラン核合意を離脱し、対イラン強硬姿勢に転じた。イランは対抗してシーレーンの大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を示唆するなど緊張が高まっている。


 「ホルムズ海峡の封鎖」といえば、思い出されるのは平成27年の安全保障関連法の審議だ。


 封鎖を念頭に置いた法整備を目指す政府・与党に対し、野党は成立したばかりの核合意を理由に「イランの核問題に前進が見られた今日の状況を踏まえれば、


ホルムズ海峡の事例は立法事実たり得ない」(民主党=当時=の北沢俊美元防衛相)などと批判していた。しかし3年で状況はガラリと変わった。目先の緊張緩和はあてにならないことを示している。


 野党はアショア配備計画への批判を強めている。国民民主党の玉木雄一郎共同代表(49)は7月31日の記者会見で「全体像がいまだに分からない」と取得費の増加を問題視し、「北朝鮮情勢の変化もしっかり踏まえて対応すべきではないか」と述べた。


一方、立憲民主党の枝野幸男代表(54)は同日の記者会見で「足下は(緊張が)緩和しているが、予断を許さない。それとダイレクトに結びつける話ではない」として、緊張緩和とは切り離して議論すべきだと指摘。あくまで費用対効果の観点から「ゼロベースで見直す必要がある」と主張した。


 イージス・アショアは必要な装備なのか、多額の投資に見合う効果があるのか。不要だというなら、弾道ミサイルから日本を守る代替手段はあるのか。


政府には必要性を正確に伝え、地元の懸念に応える説明も求められる。秋の臨時国会で大いに議論してほしい。 (政治部 千葉倫之)

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■憲法改正の早期実現を求める意見書採択について

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慎重首長署名568自治体(7県知事221市区340町村長・同年9月1日現在)

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