共産党が1月の第28回党大会に提案する大会決議案で、個人後援会の設置を40年ぶりに認めることが分かった。野党共闘の深化に伴い、一部の候補者の高い知名度を生かして幅広い支持を呼び込む狙いがある。ただ、「共産党」の看板を前面に個人よりも組織の発展を訴えてきた支持層からは戸惑いの声も漏れる。(内藤慎二)
「首相に今度こそ引導を渡そう」
志位和夫委員長は4日、東京・代々木の党本部で開いた「党旗びらき」でこう訴え、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の追及などに力を注ぐ考えを示した。14日から5日間の日程で開催される党大会は「極めて重要な歴史的意義を持つ大会となる」と強調した。
党大会では、現在の「2004年綱領」の一部改定と大会決議を決める。このうち、大会決議案では「必要に応じて、党議員・候補の個人後援会をさまざまな名称、形態でつくり、幅広い方々と力をあわせる活動にも取り組むこととする」と明記し、個人後援会の設置を容認した。
かつて、共産党は個人名(候補者名)を冠した後援会を認めていた。しかし、「あらゆる選挙戦をたたかううえで障害になるような傾向がでた」(党機関紙「しんぶん赤旗」)として、名称や性格を党の後援会に統一した。
昭和55年の第15回党大会決議では「特定の候補者だけの支持活動でなく、各種の選挙で共産党の議員候補者を支持して連続的にたたかえる、共産党後援会的な機動性をもった組織」の確立を打ち出している。
路線変更の背景には、野党共闘の広がりがある。個人後援会を容認する意義について、今回の大会決議案は「わが党の候補者を自発的に応援する人たちが広がっている。わが党の候補者が野党統一候補になり、幅広い市民とともに必勝をめざす取り組みも起こっている」と説明する。
一方で、40年ぶりの方針転換には「個人後援会の方がやりやすいとなって、これまでの努力を弱めることにならないか」(支持者)と、組織の弱体化を心配する声も寄せられている。