
聖徳太子が過ごした葦垣宮(あしがきのみや)があったと伝わる成福寺(じょうふくじ)(奈良県斑鳩町)の聖徳太子立像(重要文化財、鎌倉時代)をX線CTスキャンで調査した結果、像内に菩薩半跏(ぼさつはんか)像が納められていることが分かり、奈良国立博物館(奈良市)が発表した。
太子立像は聖徳太子の没後1400年の御遠忌(おんき)を記念し同館で開かれる特別展「聖徳太子と法隆寺」(4月27日~6月20日)で展示される。
聖徳太子立像は高さ約84センチの木造で、16歳の太子が父、用明天皇の病気平癒(へいゆ)を願い、仏具の柄香炉(えこうろ)を手に祈る姿とされる。
像内胸部に確認された菩薩半跏像は高さ約6・5センチ。右手を頬に近づけ、左足を垂らすなどして岩座に座っているとみられ、同館の担当者は「太子を観音の化身(けしん)とみる信仰がうかがえる」と話す。
特別展では、太子が建立した法隆寺(奈良県斑鳩町)の秘仏で国宝の「聖徳太子および侍者像」(平安時代)など、寺宝を中心に約170件を展示。もとは法隆寺にあり、現在は東京国立博物館が所蔵する国宝の「聖徳太子絵伝」(平安時代)は太子の生涯が描かれた多くの絵伝の中でも現存最古とされ、5月23日まで全10面が一挙に公開される。