【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は8日、香港の選挙制度見直しの本格審議に入った。栗戦書(りつ・せんしょ)全人代常務委員長は全体会議で「香港の憲政秩序を守るため、『香港独立』勢力に打撃を与え、愛国者による香港統治を確保する」と強調した。
全人代は香港の民主派や欧米など国際社会の批判を一蹴し、最終日の11日に採択する。
中国共産党序列3位の栗氏は「香港の長期的な繁栄や安定を維持する」と見直しの狙いを説明した。議案は今も未公開だが、11日に閉幕する全人代で見直しの大枠を決め、その後に開く全人代常務委で詳細を議論する見通しだ。
香港政策を担当する韓正副首相は6日に北京で、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官に対し「全人代の決定を実行に移し、香港で関連する立法作業をしっかりと行わなければならない」と指示した。
林鄭氏は8日に香港で行った記者会見で「昨年の香港国家安全維持法(国安法)の制定に続き、香港の困難を解決するため中央の権力を行使してもらい、非常に感謝している」と支持を表明した。
欧米は「香港の自由と民主的な手続きへの直接的な攻撃だ」(米国務省報道官)と批判を強めている。
しかし、王毅国務委員兼外相は7日の記者会見で「どこの国であれ、自らの祖国に忠誠を尽くすことは公職者が順守すべき基本的な政治倫理だ。それは香港も同じだ」と「愛国者による香港統治」を正当化した。