【北京=三塚聖平】北朝鮮がバイデン米政権発足後初となる弾道ミサイル発射に踏み切ったのを受け、北朝鮮への影響力を保つ中国は対米交渉の材料として「北カード」を利用していくとみられる。
中国は南シナ海の軍事化や香港、新疆ウイグル自治区での人権問題、貿易など広範な分野で米国と対立している。中国は強硬な対米姿勢を誇示しつつも、自国の立場を米国にのませるべく対話の継続も呼びかけてきた。
こうした中で北朝鮮がミサイル発射の挑発行為を再開したことは、「中国外交への援護になる」(メディア関係者)とみられている。米国にとって北朝鮮問題の重要度が増せば、米国は北朝鮮を御しうる中国の存在をますます無視できなくなるからだ。中国としては、北朝鮮問題で米国に力を貸し、他の問題では譲歩を得る計算が働く。
同時に、米国を交渉に引き出す狙いから、中国が北朝鮮への経済支援を進める展開も考え得る。
中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は25日の記者会見でミサイル発射情報に関連し、「朝鮮半島と地域の長期的な安定の実現に積極的な努力を行う」と述べた。