【ワシントン=渡辺浩生】サキ米大統領報道官は14日の記者会見で、ロシアがウクライナ侵攻の口実とするため、同国東部の親露派武装勢力に対する破壊行為を自演する工作を進めていると主張した。
親露派に対する「攻撃」を理由に、ロシアが自らのウクライナ侵攻を正当化する意図があるとみて、バイデン米政権は警戒を強めている。
ロシアはウクライナ国境近くに10万人規模の部隊を展開している。サキ氏は「ロシアがすでに工作員グループをウクライナ東部に事前配置していることを示す情報がある」と指摘。
同グループは市街戦や親露派への破壊行為を行うため、爆発物使用の訓練を受けているとした。
サキ氏はまた、ロシア側が侵攻を正当化し、ウクライナの分断を引き起こすため「国営メディアやソーシャルメディアでウクライナによる挑発行為をでっち上げる活動を始めている」との情報も明らかにした。
バイデン政権は、ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合した際も同様の工作が行われたとみている。
サキ氏は「露軍はこうした活動を侵攻の数週間前に開始する計画がある」と言及。侵攻は1月中旬から2月中旬の間に始まる可能性があると指摘した。
同氏が露側の侵攻準備を強調したのは、事前に封じ込める狙いからとみられる。米政府はウクライナの政府機関のウェブサイトに大規模なサイバー攻撃が行われたことにも警戒を強めている。