ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、同国東部マリウポリの市長顧問は15日、露軍が包囲するアゾフスタリ製鉄所で初めて、非人道的兵器とされる白リン弾が使用された可能性があると非難した。
ウクライナ軍は同日、露軍が新たに約2500人の予備役を戦線に投入する準備をしていると発表。ロシアのボロネジ州などで訓練を行っているという。
一方、露国防省は16日、東部ハリコフ州やルガンスク州のウクライナ軍の拠点や弾薬庫などをミサイル攻撃などで破壊したと発表した。東部セベロドネツクでも病院が砲撃を受け、2人が死亡、9人が負傷したという。南部オデッサ州当局によると、16日午前に露軍のミサイル攻撃を受け、重傷の子供1人を含む4人が負傷した。
ウクライナメディアによると、同国内務省のデニセンコ顧問は16日、ロシア軍の占領下にある南部エネルゴダルで、数カ月以内にウクライナからの「独立」の是非を問う「住民投票」を実施するよう露大統領府が指示した-と述べた。南部ヘルソンでも同様の住民投票の実施に向けた準備が行われているという。
「地獄が降ってきた」
マリウポリ製鉄所に白リン弾使用か
ウクライナ南東部の要衝マリウポリのアンドリュシェンコ市長顧問は15日、同国軍の抵抗拠点であるアゾフスターリ製鉄所で初めて、ロシア軍が非人道的兵器とされる白リン弾を使用した可能性があると強く非難した。
アンドリュシェンコ氏は通信アプリへの投稿で「焼夷弾か白リン弾を使用した。地上に地獄が降ってきた」と訴えた。投稿された映像では、製鉄所とみられる場所に無数の光が雨のように降り注いだ。同氏は「燃焼温度は2千~2500度で、消し止めるのはほぼ不可能だ」とした。
ゼレンスキー大統領は15日、動画を公開し「(ロシア軍は)行き詰まっていることや、『特別作戦』が既に破綻していることをまだ認めようとしない」と述べた。その上で「現実を受け入れさせる時が必ずやってくる」と国民に訴えた。(共同)