【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が4日に日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことを受け、米韓両軍は5日未明、対抗措置として、日本海に向けて地対地ミサイル4発を発射した。
9月下旬の米韓合同演習に参加していた米原子力空母「ロナルド・レーガン」が再び日本海に展開するなど、米韓は挑発の水準を高めつつある北朝鮮への軍事的圧力を強めている。
米韓両軍が発射したのは戦術地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」。韓国軍は「北朝鮮がいかなる場所から挑発しても、挑発拠点を無力化できる能力と態勢を備えていることを示した」と強調した。
韓国軍は別の弾道ミサイルも発射したが、基地内に落下する事故が起きた。人的被害はなかった。
米韓両軍は4日にも戦闘機による編隊飛行や爆撃訓練を実施した。
オースティン米国防長官と韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相は4日の電話会談で対北連携を確認。続いて米韓の軍制服組トップ同士も5日に電話会談し、北朝鮮の軍事的脅威に対応するため、日米韓3カ国の安全保障協力が必要だとの認識で一致した。
国連は北朝鮮のミサイル発射への対応を協議する安全保障理事会の緊急会合を5日(日本時間6日)に開く。米国が要請した。
一方、北朝鮮メディアは5日夕現在、4日のミサイル発射を報じていない。5月以降の一連の弾道ミサイル発射についても伝えておらず、日常的な発射実験や訓練の一環にすぎないと印象付ける狙いもありそうだ。