中国の武力行使による「台湾有事」を主要企業の約7割が現実的な経営リスクとして認識していることが4日、産経新聞の行ったアンケートで分かった。
約2割の企業が既に有事を想定した社員の退避や安全確保の対策があり、対策を「策定中」「策定を検討中」を含めると5割強が具体的な対応に着手していた。アンケートは昨年11月下旬~12月中旬に実施し、119社から回答を得た。
昨年10月の中国共産党大会で異例の3期目に入った習近平総書記(国家主席)は、台湾問題について「祖国の完全統一は必ず実現しなければならないし、実現できる」と強調。
「武力行使の放棄を決して約束しない」とし、最高規則の党規約に「『台湾独立』に断固として反対し、食い止める」と盛り込んだ。
こうした習指導部の強気の姿勢を受け、台湾有事への懸念について、主要企業の16・8%が「大いにある」、51・3%が「多少はある」と回答。「米軍が加わる形で米中衝突に発展する最悪のシナリオは短期的に可能性が低い」(商社)ものの、台湾周辺で偶発的な衝突が起こるとみている企業も少なくないようだ。
このため「駐在員や現地社員、社長の脱出計画は策定済み」(運輸)など安全確保の対策のある企業は20・2%に上り、「策定中」と「策定を検討中」は計35・3%を占めた。
ただ、有事を想定した事業継続計画(BCP)が「既にある」とした企業は1割にとどまった。BCPを「策定中」または「策定を検討中」と回答した企業が計44・6%を占めたが、「策定の予定はない」との回答も17・6%あった。