日米両政府が小型モジュール炉(SMR)などの次世代原子炉の開発協力をはじめ原子力分野での協力強化で合意する方向で調整していることが7日、分かった。
訪米中の西村康稔経済産業相は9日(日本時間10日)、ワシントンで米エネルギー省のグランホルム長官と会談し、考えを共有する見通し。エネルギー安全保障分野での日米協力が進みそうだ。
両氏は会談で、ロシアによるウクライナ侵略を受けた世界のエネルギー情勢を踏まえた新たな日米間のエネルギー協力について議論する。
岸田文雄政権は昨年12月、GX(グリーントランスフォーメーション、脱炭素)の実現に向けた基本方針を取りまとめた。原子力発電の最大限の活用や、60年超の運転を認めるルールの新設、これまで「想定していない」としていた原発の建て替え(リプレース)も盛り込み、日本の原子力政策を大きく転換させた。
関係者によると、米側はこれを高く評価しているといい、西村氏とグランホルム氏との会談では、米側から公式の場で初めて歓迎の意が示されるとともに、両氏はSMRなど「革新軽水炉」の開発協力や既存の原発の最大限の活用などで合意する方向だという。
また、両氏はウクライナ情勢を受けて国際的な争奪戦が展開されている天然ガスをめぐっても意見交換する。
日本は天然ガスのほとんどを輸入に依存しており、電力需給逼迫(ひっぱく)や物価高への対策として、輸出能力が高まっている米国への期待は高い。西村氏は安定供給確保や米国での上流権益への投資促進でも合意したい考えだ。
再生可能エネルギーに関しても、両氏は重要性を再認識し、この分野での協力を強化する方針も確認するとみられる。