ノーベル平和賞を昨年受賞したウクライナの人権団体、市民自由センター(CCL)のオレクサンドラ・マトイチュク代表が23日、首都キーウ(キエフ)で講演し、ロシアの侵攻に対抗するため軍事支援の強化を訴えた。「平和賞受賞者が戦車を求めていると言われようとも、現代文明の価値を守らなければならない」と強調した。
CCLはロシア軍による民間人殺害などの戦争犯罪を立証するため、証言を集めている。マトイチュク氏は「避難する市民を銃殺し、住宅や教会、学校、病院を故意に破壊し、殺人や強姦を犯した」と非難。「全ての犯罪者をいずれ罰するため、苦しみの記録を続ける」と決意を示した。
また「プーチンはNATOではなく、自由という考え方を恐れている」と指摘。「われわれを自由と人権、民主主義のために高い犠牲を払う最後の世代とし、次世代にこの苦労を持ち越してはならない」と結んだ。
独に主力戦車供与訴え ウクライナ外相
ウクライナのクレバ外相は23日放映の英BBC放送で、ドイツが同国製主力戦車レオパルト2を供与すれば「多くのウクライナ兵を救い、国民をロシアの占領地からいち早く解放できる」と強調、早期の供与に期待を示した。インタビュー番組に出演した。
ロシア軍が攻撃拠点としているベラルーシ南東部での軍備増強などの動きについて、クレバ氏は「われわれはそれを阻止しようとしている。打ち負かす自信はある」と語った。
ポーランド戦車供与要請へ 独外相「妨害しない」
ポーランドのモラウィエツキ首相は23日、保有するドイツ製主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与の承認をドイツに求めると明らかにした。ロイター通信などが報じた。ドイツのベーアボック外相は22日のフランスメディアのインタビューで、ポーランドから正式に供与を要請されれば「妨害しない」と述べていた。
モラウィエツキ氏は「最終的に承認を得られなくても他の国と一緒に供与する」とも述べた。ウクライナも供与承認を待たずに使用訓練を始める意向を明らかにした。(共同)