昨年7月に安倍晋三元首相が銃撃された奈良市内の現場を巡り、奈良市議会の自民党系会派が6日の3月定例会で、モニュメントの設置や再開発工事で削られるアスファルトの保存などを市に求めた。同会派が公的な場で現場について言及するのは初めて。
現場となった近鉄大和西大寺駅の北側周辺は、事件前から再開発工事が進む。市は昨年10月、安全面などからモニュメントなどは設置せずに花壇を整備し、従来通り道路の拡幅を実施することを決めていた。
自民党系会派の森田一成市議がこの日の代表質問で、モニュメント設置のほか、現場のアスファルト保存や、現場付近が車道にならないよう歩道の拡幅を要求。仲川げん市長は工事の変更は行わないとした上で、アスファルトについても「粉砕する工法のため保存は技術的に難しいが、遺族から要望があれば検討が必要」と答えた。
森田市議は産経新聞の取材に「今も現場付近には献花する人が絶えない。事件を風化させず、安倍元首相を弔う何らかのモニュメントは必要と思う」と話した。
現場を巡っては、奈良県内の自民党関係者が、付近に慰霊の場を設置する方向で検討している。