自民党が22日に示した少子化対策に関する論点整理の骨子案は、児童手当の拡充や公立小中学校の給食費無償化など子育て世帯への支援にとどまらず、若者のキャリア形成支援や結婚へのサポート、行政手続きの利便性向上など、子育てしやすい社会づくりに欠かせない政策が並んだ。
ただ、こうした政策実現の裏付けとなる財源については具体的に示されなかった。自民は4月の統一地方選や衆参5つの補欠選挙に向けて有権者へのアピールを狙うが、実現できなければ支持者の失望を招くおそれもある。
自民の「こども・若者」輝く未来実現会議が22日の会合で示した骨子案には、約50項目もの施策が盛り込まれた。出席議員の一人は「何もかも、全部書いてあった」とメニューの多さに目を見張る。実現会議の事務総長を務める橋本岳元厚生労働副大臣は、来週にも提言をまとめ、政府に提出する考えを示した。
自民が少子化対策を前面に打ち出すのは「春の政治決戦」と位置付ける統一選や衆参5補選への布石という側面が強い。
岸田文雄内閣の支持率は、新型コロナウイルス対策や韓国との関係改善などで反転の兆しをみせている。さらに、21日のウクライナ電撃訪問も支持率上昇の〝追い風〟になりそうだ。
ただ、4月の統一選で自民推薦候補が敗れたり、5補選で議席の上積みに失敗したりすれば、政権運営への影響は避けられない。「選挙では子育て政策など生活に直結することの方が有権者に響く」(自民幹部)ためだ。
自民は生活に身近な少子化対策をアピールし、統一選で勝利を目指す考えだが、財源の議論は選挙後まで封印する構えだ。橋本氏は22日、記者団に「(施策の)優先順位や規模、財源は(6月の)経済財政運営の指針『骨太の方針』に向けて議論する」と述べた。
財源を巡っては、医療・年金に関わる社会保険料を活用する案などが浮上するが、国民への負担増は有権者の反発を招く可能性もある。党内には「統一選前に財源を議論するのは得策ではない」との考えが広がる。
とはいえ、財源を示せない政策は絵に描いた餅となる。財政規律を重視する党幹部は「財源をどうするかという議論がまるでない。そのうち『サラ金』にでも手を出さなくてはいけなくなる」と漏らす。(中島康裕、野村憲正)
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