自民党は12日、党本部で性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議を開き、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を特命委の高階恵美子委員長と内閣第1部会の森屋宏部会長に対応を一任した。
保守系議員の一部は反対したが、幹部側が押し切った。法案は19日に広島市で開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の前に国会に提出される見通しとなった。
法案は基本理念に「性的指向および性同一性による不当な差別はあってはならない」と盛り込まれた。会議では28人が発言し、差別に関する表現や、学校現場にLGBT教育の確保を求めた条文などについて異論が相次いだ。森屋氏が一任を提案したのに対し、出席者からは賛成、反対それぞれの声が上がった。
会議終了後、推進派の稲田朋美元防衛相は記者団に「大きな前進だ。一方で心配している女性の団体もある。懸念を払拭するためにも、理解増進法を作るべきだ」と述べた。慎重派の高鳥修一衆院議員は記者団に「最後は強引に一任を取り付けた。民主的な党運営に禍根を残した」と語った。
自民は16日にも党総務会で法案を了承し、党内手続きを終える方針。合同会議の幹部らは公明党や日本維新の会と法案の内容について調整しており、16日以降、立憲民主党も含めた与野党で協議し、法案を国会提出したい考えだ。
法案を巡っては、岸田文雄首相(党総裁)が今年2月、元首相秘書官の性的少数者への差別的な発言を受けて国会提出に向けた準備を指示しており、合同会議は4月28日以降、計4回に渡り法案審議を重ねた。
特命委の幹事長を務める新藤義孝政調会長代行は12日、記者団に「差別禁止に基づいて差別を糾弾するのではない。すべての国民が共生できる社会を提供するのが責任だ」と話した。