自民党は16日の総務会で、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の修正案を了承した。
遠藤利明総務会長は記者会見で「全会一致で了承いただいた。評価したい」と述べた。この後、自民、公明両党は与党政策責任者会議で正式に修正案を了承。自民の茂木敏充、公明の石井啓一両幹事長は東京都内で会談し、修正案を週内に国会に提出する方針を確認した。
両氏は野党に賛同を呼びかけることも申し合わせた。ただ、野党の賛同が得られない場合でも、19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)前に提出する構えだ。
修正案は、令和3年5月に超党派の議員連盟がまとめた「性自認を理由とする差別は許されない」との文言を「性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」と改めた。しかし、自民内では「不当な差別」の中身が不明瞭な点などが懸念されている。
自民は性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議で計4回、法案を審査したが、反対意見が多かったにもかかわらず、部会幹部らが一任を取り付けたことに、党内では「こんなやり方をすればどんな法案でも通せてしまう。民主主義の根幹に関わる」(閣僚経験者)などの批判がある。
これに対し、萩生田光一政調会長は16日、党内手続きについて「長い時間をかけて議論し、ほぼ収束され、最終的に一任を取り付けた。何ら瑕疵(かし)はなかったと思う」と記者団に強調した。
一方、立憲民主党は自民修正案について、超党派の議員連盟が合意した法案から、内容が後退しているとして批判を強めている。立民の岡田克也幹事長は16日の記者会見で、超党派議連の法案を国会に提出する考えを示した。