日本維新の会と国民民主党は26日、LGBTなど性的少数者の理解増進を図るための独自法案を衆院に共同提出した。
与党案をベースに「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティー」に改めたほか「全ての国民が安心して生活できるよう留意」との条文を新設し、女性の権利侵害に対する懸念に対応する。LGBT法案は、これで立憲民主・共産・社民の3党案を含め、計3案が出そろった。
維新と国民民主は、2年前に立共社案と同一の超党派議連案に賛同した経緯がある。提出後、維新の音喜多駿政調会長は「トイレやスポーツ大会など、性差を超えて摩擦が起きる事態が世界で生じ始めている。2年前から大きく状況が変わった」と記者団に説明した。
国民民主の大塚耕平政調会長は「課題ごとに現実的な落としどころを探るのが中道の精神だ」と語った。
「ジェンダーアイデンティティー」と呼び変えた概念は、立共社案では「性自認」とされており、前後の差別に関する表現とあわせて大きな争点になっている。
大塚氏は「日本語に訳すと独特の意味が入ってくる言葉は多い」と語り、より中立的な表現だと説明。音喜多氏は「国際的にも通りがいい」と語った。
一方、「不当な差別はあってはならない」との文言は与党案のままとした。差別の解釈が恣意的に拡大される恐れが指摘されているが、音喜多氏は「国民の安心」に関する条文の新設により、そうした懸念は払拭されるとの認識を示した。