自民党が岸田文雄首相(党総裁)直轄の新組織の設置を決めるなど、安定的な皇位継承策の具体化に向けた議論が与野党で本格化しつつある。
自民や日本維新の会、国民民主党は伝統に基づく男系継承に重きを置く方針だが、立憲民主党は一定の距離を置く可能性が高い。共産党は過去に例のない「女系天皇」も否定しておらず、政党間には隔たりがある。
「喫緊の課題であるという強い認識を持って議論に参加していただきたいし、自民も貢献をしていきたい」。首相は10月30日の衆院予算委員会で、安定的な皇位継承策を巡り他党にこう呼びかけた。
自民の新組織は麻生太郎副総裁を座長としていた懇談会を格上げする。旧皇族の男系男子の皇族復帰案を軸に党の見解をまとめるとみられる。
政府の有識者会議は令和3年12月、男系男子の皇族復帰案と、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持できる案を盛り込んだ報告書を公表した。これを受け立法府の総意を取りまとめる議論が始まるはずだったが、各党の腰は重かった。