この問題は実はいろいろな外交問題がある中で、最大の課題であっただけに政府はその姿勢を評価するとともに、是非、その姿勢を堅持してもらいたい。
中国は昨年1月、当時の王毅駐日大使(現外務次官)らを通じて、政府・与党に非公式に皇太子同妃殿下の開会式ご出席を要請、さらに今年4月には、訪日し、陛下と会談した温家宝首相が両陛下と皇族の方々に開会式ご出席を要請していた。
両陛下がご訪中された場合、どのような事態が想定されたであろうか。日中関係ではギョーザ中毒事件、東シナ海のガス田共同開発問題、そして、チベット騒乱を武力弾圧し、現在進行形の騒動の中、欧州各国の首脳は開会式の欠席を表明している中、これらの問題がありながら元首が出席されること自体、問題の所在はなかったことを世界に認めることとなるとともに、それだけでなく過去の歴史について責任問題に触れることになりかねない。
かつて両陛下は平成4年、天安門事件で国際社会から孤立していた中国をご訪問された。当時、国内でかなりの反対があったにもかかわらず、政府は政治的位置づけで両陛下に中国へのご訪問を強いたのであった。
その後、中国の銭元外相が回想録の中で「中国が西側の制裁を打ち破る最も適切な突破口となった」と記しているが、日本政府だけでなく、中国の論理でも天皇皇后両陛下のご訪中は最初から政治的に利用しようと位置づけていたことがはっきりしたのである。その戦略にまんまと我が国政府は乗ってしまったのである。
しかし、その後、日中関係はよくなったかと言えば、さにあらず、当時の江沢民国家主席は、さらに国民に「愛国教育」を徹底させ、逆に悪くなった。今回もたとえご訪中が実現しても、五輪に対する国際的批判をかわすためであって、山積している課題は何も解決していない。(丸山)
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