五輪聖火リレーがロンドン、パリで混乱し、サンフランシスコでは聖火通過を翌日に控え、5000人が「中国非難」の声をあげた。パリでは聖火を守るために三度も火を消さなければならなかった。
そもそも聖火をアテネから5大陸を巡って、五輪開催地に無事に継がすことがスポーツを通じて世界平和につながると考えた神聖なイベントであったものが、中国のチベット武力弾圧に抗議する今回の状況は既に五輪開催の意義が損なっていることを明らかにした。
つまり平和の祭典としての五輪は開催地が自らの行動で反故にしたことから、その意義を放擲してしまったように見える。
中国は性懲りもなく、事態は沈静化したとし、抗議の声はほんの一部だけと論評しているが、直前までリレーコースを明らかにしなかったり、開会式に各国首脳が欠席するということは決して祝福しない五輪であることがわかる。
そういえばミュンヘン五輪もテロによって選手の命が奪われたこともあり、五輪が各国の思惑によって翻弄された事実もあった。国威発揚のためのスポーツの振興、ソ連のアフガン侵攻に伴う西側諸国のモスクワ五輪へのボイコット、その報復として東欧諸国がボイコットしたロサンゼルス五輪と五輪出場のために命を削る思いで練習してきた選手の存在は忘れられたままであった。
今回のチベット弾圧を敢行している中国に、わが国政府はいまだに内政問題であり、「人権問題として看過できない場合には抗議する」というひどく傍観者的態度をとり続けている。加えてチベットは大変親日的に国である。わが国からも多くの選手団が国を代表していく。
旧来の友好国の関係、そして選手団の生命を守ることが国の責務であるならば、わが国も北京五輪に対してどう向き合うべきなのか、態度を明確にするべきである。
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