去る4月21日の早朝(現地時間)、イエメン・アデンの東方沖440キロの海域で日本郵船の大型原油タンカー「高山」が海賊と見られる小型不審船から発砲を受けて、被弾、高山の左後部のバラストタンクと燃料タンクにある金属製仕切り板に指先程度の穴が開き、油が漏れているという。
高山はシグサグ航行をしながら逃れようとしたが、不審船は4回に渡って発砲し、逃走し、結局、高山はそのまま西に向かった。この海域は公海であるが、典型的なシーレーンの部分であり、原油の9割を中東諸国に頼り、限られたコースをとらなければならないだけに改めて、日本経済は海賊やテロ行為によって大きく左右されていることを実証することとなった。
実はイエメンと対岸のソマリアに囲まれたアデン湾付近では昨年、都内の海運会社のケミカルタンカー「ゴールデン・ノリ」が海賊に乗っ取られ外国人船員が拘束される事件が起き、米海軍駆逐艦が出動し海賊のボートを撃沈した後、監視を続け、結局、2ヵ月ほど経ちタンカーは開放されたものの、その際にも米海軍艦艇が救出したのであった。
これほどの事件が起きたにもかかわらず、各種マスコミは全くこのことを知らせず、さらに米海軍が出動したにもかかわらず、わが国はこの事件に関してなんら直接的に救出活動を行わなかった。
今回は高山が自力で危機的状態を脱し、器物損壊、油は漏れたものの無事、人命が補償されたことだけでもよかった。しかし、この地域での海賊・テロ行為の可能性は高くなったともいえ、原油の値は跳ね上がることが予想される。
シーレーンの安全保障がいまだに他国の軍隊によって守られている現実に、わが国は自国のタンカーを守れない状態であることを肌身に感じなければならない。自国の船舶を守ることができないわが国の安全保障は、結局、拉致問題の未解決と同じなのである。ただ国民はマスコミが情報を遮断することによって、この冷酷な情況を知らないだけなのだ。(丸山)
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