私共も批判していたように、二月に公表された中教審答申は、改正教育基本法の趣旨を踏まえているとはいえず、抜本的な内容の刷新が行われていいませんでした。
占領軍の教育改革に端を発する戦後教育路線を固持せよと叫ぶ朝日新聞や日教組ら。それに迎合して「教育基本法は変わっても、理念は変わりません」と明言する文部科学省という構図でした。
しかし、現在の教育荒廃の背景には、子供たちに利己主義と拝金主義、刹那主義ばかり教えて、この素晴らしい日本を築いてくれた先人に対する感謝も、公に尽くす生き方の素晴らしさも教えてこなかったという、教育哲学の根本があると考えて、教育基本法改正に踏み切ったわけです。
この教育哲学、人生観の転換を踏まえた「学習指導要領」改訂とすべきだという世論は大きく盛り上がりました。
「学習指導要領」に対して国民に意見募集をしたところ、今回、なんと6800人もの方から意見が寄せられました。他の政策項目の場合、多くても1000人ぐらいで、実に通常の七倍近い数でした。しかも、小中学生の親にあたる三十代と四十代からの意見が全体の三割近くを占めました。職業別でも、いつもなら教職員や団体職員が多いのに、今回は、会社員が全体の2割近くを占めました。
この結果を見て、文部科学省のある役人は、「実際に子供を学校に通わせている親たちの関心がいかに高いのかを実感させられた。今回の異例の改訂の背景には、改正教育基本法に基づいてしっかりと学習指導要領を改訂してほしいという親たちの願いがあった」と、話をしていました。
文部科学省が国民の意見募集をいかに重視していたのか。実は、文部科学省はそのホームページで、国民の意見(パプコメ)に対して一つ一つ、見解をとりまとめ、連休前に公表しているのです。是非ともご覧ください。
●学習指導要領のハブコメに対する文部科学省の見解(画面の「結果概要」をクリックしてください)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=185000297&OBJCD=100185&GROUP=
それでは、中教審答申と、今回の『学習指導要領』ではどのような点が改善されたののでしょうか。すでに『日本の息吹』5月号で、民間教育臨調の村主さんが指摘されていますので、詳細は、同論文をご覧いただきたいのですが、改めて確認すると、以下の点です。
第一に、「総則」に「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し」を挿入し、すべての教科において愛国心の養成を図ることが明確にされました。
第二に、小学校「音楽」で「(3)国歌『君が代』は、いずれの学年においても、歌えるよう指導すること。」と修正され、児童・生徒が国歌を歌えるよう指導する義務が教師にあることを明確にされました。
第三に、小学校「社会」の「3 内容の取扱い (1)」で「ア 政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には、各々の国民の祝日に関心をもち、その意義を考えさせるよう配慮すること。」と修正し、憲法記念日だけでなく、建国記念日や天皇誕生日も取り上げることになりました。
第四に、小学校「国語」「第2 各学年の目標及び内容 第1学年及び第2学年」で「2 内容 C 読むこと」を、「昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり発表し合ったりすること。」と修正され、戦後初めて「国語」の教材に神話が入ることになった。
第五に、中学社会「歴史的分野」の「2 内容」で「ア、世界の古代文明や宗教のおこり、日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰、大和朝廷による統一と東アジアとのかかわりなどを通して、世界の各地で文明が築かれ、東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国家が形成されていったことを理解させる」と修正。更に「ウ、仏教の伝来とその影響、かな文字の成立などを通して、国際的な要素をもった文化が栄え、後に国風化が進んだことを理解させ…」と修正され、仏教伝来以前から我が国には独自の信仰(神道)があり、その上で文化が発展したことが明確になりました。
占領軍の「神道指令」によって、学校教育の世界で、神道は不当な差別を受けてきましたが、ようやく、我が国の歴史における神道の果たした役割や現代社会における意義などについての「知識」を、子供たちに教えることができるようになったのです。
第六に、「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」において、「3 内容の指導に当たっては、教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき、適切に行うよう特に慎重に配慮して、政治及び宗教に関する教育を行うものとする」と修正し、「宗教的情操の涵養」を排除してきた戦後教育を転換し、「宗教に関する一般的教養」教育を充実させる旨が明確にされました。
是非とも修学旅行での、伊勢神宮訪問などを増やすようにしていきたいものです。
第七に、中学校「道徳」で「(3)先人の生き方伝記、自然、伝統と文化、スポーツなどを題材とし、生徒が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して、生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。」と修正し、偉人伝を取り上げることになりました。
労働者が歴史を作るという唯物史観に毒されて学校教育では長らく偉人伝が排除されてきました。しかし、さまざまなハンディを抱えながら、世のため人のため懸命に生きた先人たちの具体的なドラマに触れることで、子供たちの「志」は養われていくはずです。
日本青年会議所も「偉人伝から学ぶ人間教育」の推進を提唱しており、民間と学校が連携して、子供たちの「志」教育が充実されていくよう努力したいものです。
最後の第八に、「総則」に「…適切な教育課程を編成し、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする」を追加し、教育基本法、学校教育法及び「学習指導要領」の内容は、児童生徒が必ず身につける「達成目標」であることを明確にされました。
つまり、『学習指導要領』に提示された以上のような項目は、教員である限り、子供たちが身をつけるよう努力する「義務」があることが明確にされたのです。
言い換えれば、親の立場から、以上のような教育をしっかりと行うよう要望することができるようになったということです。
改正教育基本法に始まる「教育改革」によって、学校も地域も親もすべてが意識改革を迫られています。まずは、教育内容について大きな前進が勝ち取られつつあることを、広く国民の皆さんに伝えていきたいものです。
※なお、『神社新報』5月19日号に「GHQによって否定された地域の教育力」という拙文が載っています。ご関心のある方はご一読のほどを。
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