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日本農業が自然環境を守る

日本農業が自然環境を守る

 「CO2の削減努力をしてまっせ」と言わんばかりの企業CMや、エコキャンペーンなるものを目にするたびに首を傾げる。その多くは「地球環境を大事にしよう」「緑を守ろう」と言いながら、やることは日本から遠く離れたアフリカや中国での植林であったり、環境団体への寄付であったりするからだ。

 むろん、それも大事なことだろう。だが、本当に地球環境が大事だと思うならば、どうして日本の水田や山村の崩壊という一番身近な地球環境問題には目を向けないのだろうか。

 食料自給率の問題を、地球環境問題との絡みで考えてみたい。

◆水田がもたらす恩恵
 今、わが国では農業の衰退とともに耕作放棄地が年々増えている。農林水産省によると、平成2年に22万ヘクタールだった耕作放棄地は、平成17年には39万ヘクタールに増加。この十五年で東京ドーム3万6360個分の農地が放棄されたことになる。

それはまた山村の崩壊をもたらしているが、このままの状態が推移すれば、日本の自然環境、生態系は確実に崩壊する。なぜなら、わが国では遠い昔からこの方、水田稲作が行われることによって、自然環境が守られてきたからだ。

 「日本の米カレンダー」を発行している富山和子氏によれば、日本の山も、川も、森も、溜池も、砂防林も、海岸林も、みんな稲作のためにつくられた。また、水田はわれわれが毎日食べるお米がとれると同時に、洪水を防止し、地下水脈を涵養し、大気を浄化するといった有り難い機能を持っている。それゆえに富山氏は、かつてこう語ったことがある(『明日への選択』平成4年6月号)。

 「日本の森林はお米のもとである水も土も作った。でも、その森林を作ったのはお米だった、と何度も書いてきました。だから、環境を守るためにはどうしても稲作農業を守らなければならないのです」

 一方、農と自然の研究所代表理事の宇根豊氏は、日本の生態系、自然環境は、田んぼ(水田)によって成り立っていると述べている(『百姓仕事が自然をつくる』)。

 「土を肥やすために有機物、ワラや堆肥を、田に入れてやる。その有機物をトビ虫やユスリ蚊が食べる。その排泄物を微生物が食べる。それをヤゴが食べる。ユスリ蚊はオタマジャクシに食べられる。ヤゴをカエルが食べる。

カエルは害虫を食べる。カエルをヘビやサギが食べる。鷹やサギは糞を山に戻す。山からは落ち葉の養分が水に溶けて、田んぼに運ばれる。田んぼには、いろいろな生きものを求めて、いろいろな生き物が集まってくる。メダカやドジョウ、ナマズ、コイ、フナ、そしてタニシ、みな食料だった」

 こうした水田がもつ様々な恩恵を一般に「水田の多面的機能」とか「農業の多面的機能」と言うが、仮にこれを金額に換算すればどうなるかという試算がある。

日本学術会議が平成13年1月に発表した答申「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」によると、洪水防止機能は3兆4988億円、水源涵養機能は1兆5170億円、土砂崩壊防止機能は4782億円、土壌浸食(流出)防止機能は3318億円、保健休養・やすらぎ機能は2兆3758億円、有機性廃棄物処理機能は123億円、気候緩和機能は87億円になる(すべて一年当たり)。

 この「農業の多面的機能」について、生源寺眞一東京大学教授は次のように言及している(『農業再建』)。

 「……重要なのは、農業の多面的機能の多くについて、国内の農業以外の手段で提供することが難しい点である。例えば農耕景観は、その場所で農業が行われていなければ存在し得ないという意味で、農業から切り離すことが不可能な多面的機能である。……食料は輸入できても、多面的機能を外国から輸入することは不可能であり、国内で農業から切り離されたかたちで供給することもできないからである」

 農業の持つこうした優れた側面は、もっと認識される必要がある。

◆食料輸入で他国の水を奪う日本

 何でもかんでもエコはいいことで、「地球を大事にしよう」と言いながら、食料自給率の低下に無関心なのも矛盾した態度だと思う。食料の多くを海外に依存するということは、地球環境に大きな負荷をかけているということでもあるからだ。

 穀物や肉を生産するには大量の水が必要だが、食料需給表(平成18年)によると、日本が輸入する主な農畜産物の量は、小麦546万トン(自給率13%)、大豆404万トン(5%)、トウモロコシ1669万トン(0%)。牛肉67万トン(43%)、豚肉110万トン(52%)、鶏肉59万トン(69%)にものぼる。

 これほど膨大な量の穀物や肉を生産するのにどれほどの水が必要なのか、という考え方から近年よく言われるようになったのが「バーチャルウォーター」である。色々な試算があるけれども、東京大学生産技術研究所の沖大幹教授のグループの試算では、日本が一年間に輸入している主要な農畜産物には年間427億立方メートルもの水が必要だという(2000年ベース)。

 427億立方メートルと言ってもピンとこないが、5万5千人の観客が埋まる東京ドームなら3万4400個以上。また琵琶湖の貯水量でいえば、その1・5倍以上に相当する。要するに、日本人はそれだけ膨大な他国の水を間接的に奪いながら生活しているということになる。

 水といえば、日本人にとっては、あって当然の存在で、異常渇水でもなければ話題にのぼることもない。だが、国連の調査によると、現在、世界の5人に1人(12億人)が安全な水を飲めず、5人に2人(24億人)は下水などの衛生インフラのない暮らしを続けている。そのため、毎日6千人以上、年間200万人の子供が水に関連した病気で命を落としている。つまり、世界的にそれほど水が不足している現状がある。

 世界的に見れば、日本は水資源が豊富で、穀物生産に有利な環境であるにもかかわらず、食料の六割を他国に依存し、それによって他国の水を奪っている。情勢次第では、日本は国際社会の厳しい批判にさらされる条件を十分に備えていると言える。

◆フードマイレージで国産食品を意識しよう 

一方、海外から大量の食料を輸入しようとする場合、その過程で大量の温室効果ガスが発生するという問題がある。そこで近年、「フードマイレージ」ということが言われるようになった。

 藤岡幹恭徳島文理大学名誉教授によれば、フードマイレージとは、消費する食料の量に農場から食卓までの距離を掛け合わせた指標のことで、「なるべく地域内で生産された食料を食べよう」という英国の市民運動から始まった考え方だという。これも色々な試算があるが、前農林水産政策研究所の中田哲也氏の試算では、日本のフードマイレージは9000億トン・キロで、二位の韓国、三位の米国の約三倍にもなるという。

 もっと身近な食品でいえばどうなるか。NGO「大地を守る会」のフードマイレージ・キャンペーンでは、食料が運ばれてくる時に出るCO2を測ってpoco(ポコ)という単位を目安にしている(1ポコは、CO2でいえば100グラム分に相当)。例えば、食パン1斤の場合、国産小麦で作った食パンと輸入小麦で作った食パンの差は、距離にして9496キロ。フードマイレージは国産が0・35ポコ。輸入が1・45ポコで、その差は1・1ポコ。国産小麦で作った食パン1斤を食べることは、冷房の利用時間を4時間減らすのと同等のCO2抑制になるという。

 もっとも、現実には小麦の大半は輸入もの。つまり、われわれはそれだけ地球環境に負荷をかけた上で食パンを食べている。むろん、食料の6割を海外から輸入しているのだから、食パンに限った話ではない。

*          *

 こうした現実から言えるのは、国内で生産された米・野菜・果物といった農産物を積極的に買って食べることは、日本の自然はもちろん地球環境を守ることにもつながるということだ。ちなみに前出の宇根氏はドイツでのこんな体験を紹介している(『現代農業2007年11月号増刊』)。

 「ある村ではリンゴをジュースに加工して付加価値を付けて販売していた。そのリンゴジュースが飛ぶように売れているのだそうだ。……町の人たちは『このリンゴジュースを買って飲まないと、あの村の美しい風景が荒れ果ててしまう』と言って買うのだそうである。……リンゴはリンゴだけでは育たない」

 日本の農業も、棚田をはじめとする日本の美しい風景も、もはや農家だけでは守れない。われわれの積極的な応援が必要だ。(『明日への選択』編集部記者 新井大智)

〈『明日への選択』平成20年5月号より〉
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コメント

問題は経済性では?

日本の農業を大切にすべきだというのは、その通りだと思います。しかし、現実がそうなっていないのは、日本の農産物が高価格だからでしょう。コメの価格の国際水準との差からも分かるように、関税障壁で守るのは限界がある。日本の農業を近代化し、国際競争力をつけることが先決だと思います。

おいら、もう少し歳食ったら田舎に帰って農業手伝う事にしようかなぁ…

日本人の生き方

現代の問題は、農業を事業として成り立たせることを前提にしか思考しないことにある。農の基本はまず自分が生きるためにあることを忘れてはいけない。自分の食い物を確保する農作に1年中8時間労働を強いられるものでもない。それは毎朝ラジオ体操を継続するよりも容易にできることである。生命を安全に維持でき、人生を考える時間を持つことがまずライフラインとして整備されなければいけないだろう。現在の人々は、お金を失う事と生命の維持に対する危機を同時に思考してしまう傾向がある。そういった固定観念を抜本的に変える事が急務だろう。


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…………………………………………………………………………

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……………………………………………………………………………

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……………………………………………………………………………

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