現在日本が直面している大問題には拉致問題・領土問題等国の安全にかかわるもの、日教組問題で明らかになった教育再生、社会構成の単位である家族・家庭の問題、資源のない日本として食料・エネルギー確保等いろいろあります。
これらの問題もその根本に「何が良くて何が悪い」或いは「幸せとは何か」等といった日本人の持つ伝統的価値観があると思います。この価値観が狂ってしまうのが本当の危機ではないでしょうか。
そんなことを考えながら年末から新年にかけて、読み飛ばした本など読み直してみました。田母神論文や、朝まで生テレビの録画等も見直しました。この録画では田母神論文の肯定派、否定派の論客がやり合っていましたが、聴視者のアンケートが最後に紹介されていました。
それによるとこの論文に共感したものが61%、否とするもの33%(否とする理由の大半が彼の立場上であり論文そのものではない)さらに自衛隊を憲法に明記すべきかに対しイエスが80%、ノウが18%で明らかに国民の意識が変わってきていることを感じました。
田母神論文を再読し筆者が感じたことを書いてみました。ご高覧下さい。
UNKの会事務局 大谷和正
田母神論文の要旨
1)19世紀後半以降、相手国の了承なしに日本は軍を進めたことはない。
2)蒋介石はコミンテルンに動かされ、日本は戦争に引きずり込まれた被害者。
3)満州・台湾・朝鮮半島における日本統治は侵略と言えるのか。治安がよく豊かになり人口も
爆発的に増えていた。
4)ルーズベルト政権にもコミンテルンのスパイがあおり、日本はルーズベルトの罠にはまり真珠湾
攻撃を行った。
5)多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している。
6)わが国が侵略国家と言うのはまさに濡れ衣である。
7)マインドコントロールは戦後63年を経て日本人を惑わせている。現在日本は文化大革命が
進行中であり、誇りある歴史を取り戻さなければ日本は衰退する。
この論文に対し賛否両論が噴出し、大騒動となったのは記憶に新しい。この論文を批判する側の意はいろいろあるが、その一つに「田母神氏の主張の根拠となるものが、なんら新しいものでなく他人評の中から都合のよいところだけを引用してバランスに欠ける論旨を展開している」というものがあった。
確かにそのような弱点がこの論文にあることは否定できない。一方でこの論文はまさに正論であると手放しで賞賛する声も多いようである。筆者がこの論文を一読して感じたのは、田母神氏には何か本当に言い事があったのではないかという疑問であった。
タイトルが「日本は侵略国家だったのか」であるから、「日本は侵略国家ではなかった」と表向きは言ったのであろう。しかし彼の心中には本当に言いたいことがあるような気がしてならないのである。
戦後自衛隊の置かれた立場
自衛隊の置かれた立場を説明するのに次のたとえ話が分かりやすい。戦後の自衛隊はこのたとえ話の少年と重なるのではないかと思う。主人公の少年の父親はまじめな男であったが運悪く争いに巻き込まれ、成り行きで相手を殺してしまった。
相手が金持ちで権力者であったため、正当防衛は認められず殺人罪に問われ、処刑されてしまった。無責任なマスコミは権力者側に媚び、決して事件の真実を公表しなかった。
そのため周囲の人は少年を小さいころから、殺人者の子供として冷ややかに見るだけで、まともに少年を認めようとはしなかった。
学校でも本人を前にして、少年の父親は冷酷無比な殺人犯だったから、皆も注意して少年と付き合うようにと先生が注意するといったことも当たり前だったようである。そのような環境で少年がまともに成長するのは、厳しいものがあったと想像される。
それでも少年はめげず、成長し今や立派な青年となったが、世間の見る目は依然として冷ややかで警戒を緩めないのである。「今はおとなしくしているが、そのうち父親のように人殺しになるに違いない」「凶器となるようなものは持たせてはならない」「絶えず目を離さず厳しく監視しておかなければ何をしでかすか分からない」とこの青年に対し一片の愛情も信頼も示そうとしないのである。
このように非道に扱われた青年がこのまま社会に適応して行けるのであろうか。このままでは、何かのきっかけで本当に冷酷無比な凶悪犯になってしまう可能性も高いのではないか。
戦後の自衛隊はまさにこのたとえ話の主人公そのものであり、今もその状態が続いているといえる。この冷たくあしらわれた若者が理不尽な世間に対してこう言いたいのではないかと思う。「愛してくれとはいわないが、せめて俺のことをまともに扱ってくれ!」「もう少し俺のことを信じてくれよ!」田母神氏はこの少年のように言いたかったのではないかとふと思うのである。
軍人に対する誤解
敗戦後は戦時中の過酷な体験から、その反動として「何よりも平和が大切だ」「戦争は悪だ」という意識が国民の間に広まったのは止むを得ないことであった。
さらにアメリカ占領軍の圧力で戦争放棄の所謂平和憲法を押し頂くこととなり、大東亜戦争の原因も好戦的な軍人がいたからだとする幼稚で極端な世論も一部に見られるようである。それに対して軍や軍隊が尊敬や信頼の対象として見られるのが世界の常識であることを指摘するマスコミ・有識者は殆どいないのが日本の現状である。
自分の国や国民を外敵から守ってくれる軍隊・軍人を信頼し敬意を払うのが世界の常識なのである。国民から不信の目で見られ正当に評価されず名誉も誇りもなくて国や国民を守れるだろうか。 「軍人が力を持つと戦争になる」というがこれは誤解である。軍人は彼我の戦力を正確に把握するので、戦争の帰趨が予測され余程楽勝のケースを除き戦争には反対するものである。
自分たちの命も懸かっていることだし、開戦には慎重なのである。世界の歴史を見るとヒトラーやチャーチルといったシビリアンが渋る軍人の尻を押して戦争を始めたという見方もあるようである。シビリアンコントロールも良く考える必要があるのではと思う。
田母神氏が本当に主張したかったこと
田母神氏はあまり多くを望んではいないと思う。20〜30年前まで「自衛隊は憲法違反」「自衛隊は税金泥棒」と左翼勢力が声高に言い「自衛隊は国の恥」というノーベル賞作家までいて、自衛隊を支持する声は殆ど聞こえない状態であった。
しかし現在あれほど自衛隊を否定していた左翼勢力も憲法違反、税金泥棒と過去に主張したことは忘れているようである。田母神氏はそのような状況を考え、良識ある人たちが声を上げ「自衛隊は我々日本の軍隊」「軍隊は我々国民の財産」「軍人の名誉を重んじよう」「軍人を信頼しよう」と何故言ってくれないのか、もしそうなれば我々軍人は命をかけて日本を、そして国民を守ろうと誇りを持って行動することが出来るのにと田母神氏は内心で思っているのではないか。
つまり田母神氏があの論文で本当に言いたかったことは「我々を信頼してくれ」の一言だったのではないかと思う。(文責:大谷)
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