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八重山教科書問題は一国二制度への一里塚か

八重山教科書問題は一国二制度への一里塚か (産経新聞 11.19)

 まるで「一国二制度」を求めているかのように思えてならないのが沖縄県教委である。八重山教科書採択協議会の問題で全く事態の収拾に向けた指導力が感じられないのだ。正確に言うと指導力の欠如ではない。誤った指導を繰り返しているのだ。

 正規の手続きで選んだ中学校の公民教科書(育鵬社)の採択を、竹富町のみが拒否し続けており、そこに県教委が手を貸すという話だ。県教委は沖縄メディアや反戦左翼の主張に沿った形で、知恵を出し、様々画策して育鵬社の採択を何度も邪魔したり、ひっくり返そうと試みるのだが、それが適わなかった、という話だ。

 今も竹富町は育鵬社を拒否し続けている。法令違反なのだが、そこで事態を収めるべき沖縄県教委がやることが誤っているのである。

暖簾に腕押し

 産経新聞では今回の問題を「採択の危機」と名付けて報道し続けてきた。このコーナーでも採択制度がいかに民主主義に基づく大切なものであるか、警鐘を鳴らし続けてきた。いかに県教委や竹富町が取っている行動が常軌を逸したものであるのか。

いかに民主主義を蹂躙し、全体主義的であるか、ということも指摘した。採択制度を根底から瓦解させるものであるか、ということも述べた。そのことへの警戒感が当事者のみならず文部科学省の役人や民主党政権にも、いかに薄いか、ということもを何回も訴えてきた。


だが全く暖簾に腕押しなのである。彼らは全く痛痒を感じていないのである。法治国家で日本国である以上、政権が変わっても法律に基づく支配は変わらないことが最低条件である。ところがこれいとも簡単に破られる出来事が、民主党政権が始まって以降、相次いで起きている。

 今回文部科学省が示した「石垣、与那国=無償で育鵬社、竹富=有償で東京書籍」という解決案にも、それが端的にあらわれている。

 要はこの解決案は違法の追認であり、採択制度にどんな禍根をもたらすかという深慮が全く足りないのである。

 政治家も行政マンも、自分たちが唱えている政策が果たして法に照らして大丈夫なのか。裁判にたえうるものであるのかとか、制度の根幹を崩さないか、くらいのことはきちんと検証したうえで口にしてほしいものである。

行政体として大失態

 沖縄県教委の脱線ぶりも都道府県教委としては類を見ないレベルに達している。あんな無茶苦茶をして不問にされている。

 彼らは明確におかしい。自分たちが可笑しいことに気づいていないとすれば、それはもっと可笑しい。教育長以下、自ら責任を取って辞任するか、沖縄県として解任されるべき案件である。そのくらい深刻な行政体としては大失態である。そんな認識、自覚を持って臨むべき事案である。

正直、わたしは沖縄県教委の良識をはじめから疑っていたわけではない。沖縄県教委は「メディアによって作られた沖縄世論」を前になぜ抵抗できないのだろう、とは思っていたが、本音では正しい法解釈があることはきっと彼らもわかっていて、それは自分達の法解釈と異なるものであると、はじめからわかっているのだろうと思っていた。

いったん掲げるとおろせない

 沖縄メディアの執拗なバッシングを受けるのが怖いからあんな無茶苦茶な法解釈を打ち出し、採択介入をする。いずれ国に一蹴されてしまうだろうから、そしたら「国の判断は県教委として不本意だが、国のいう法解釈である以上、従わざるを得ない」などと表明して(バッシングには迎合して)事態を収めるつもりなのか、などと考えた時期もあった。自分たちで事態を収められず、国の力を借りて収拾させるつもりなのか、などとも思っていた。

 国の法解釈が示された後も自分達の法解釈が正しいと彼らは譲らなかった。これだって、県教委にはメンツがあるからなかなか、自分たちの示してきた法解釈が誤りだと突きつけられても、組織としてはなかなか受け容れないのかもしれない、と思っていた。掲げた旗を降ろせずにいるのかもしれないと思っていた。

こりゃダメだ

 しかし、県議会での答弁でも国の法解釈の誤りを指摘したり、文科省の示した解決案を県教委が腐す報道に触れるにつれて、「こりゃダメだ」と思った。教育長が上京して文部科学大臣に竹富町が違法で、有償にするのは慎重に、などと国に要望指図している光景を見て完全におかしい、と思った。と同時に情けなかった。

 前回も述べたが、竹富町を有償にする文科省の解決案は致命的な誤りを犯している、とわたしは思っている。だが、それは沖縄のメディアがいう「竹富町が有償になるのはけしからん」からでは断じてない。

 竹富町は違法なのだ。当然の措置ではないか。少なくともそのことくらいは行政に携わっているなら、はじめからしっかり認識してほしいものである。むしろ問題は竹富町の誤りを追認することによって全体の秩序が破壊されることのほうが遙かに大きな問題なのだ。

確かに国家指導者への幻滅はあるのだが…

 もしかしたら、沖縄県教委は本気で「一国二制度」を指向しているのではないだろうか。民主党政権にもそういう思惑があるのではないか、と感じることもしばしばだ。彼らの政権運営を見ていると国家の指導者として幻滅を感じることが頻繁に起こっている。国が嘗められるのも必然だと一面思えることは確かにあるのだ。

鳩山政権では在日米軍の移転をこじれにこじれさせ、収拾のつかない事態に陥らせた。事態収拾に民主党の首脳が相次いで沖縄詣でをやるのだが、どっちが国家の指導者かわからないくらい民主党の首脳がみすぼらしく薄っぺらで言葉に力がないと見えることがしばしばである。

 菅政権では尖閣諸島沖での中国漁船衝突事故の処理で大失態を演じた。いずれも法治国家の根幹への信頼が揺らぐ事態であるのだが、このときの政権中枢にいる面々のその場の凌ぎの言動の数々も「オイオイ国家の指導者だろ、しっかりしてくれよ」という思いの連続だった。彼らは意図的に国家への信頼や秩序を自ら壊しているのではないか、と思えることも一度や二度ではなかったのだ。

法律を顧みない県教委って

 そして今回の沖縄県教委の振る舞いである。新聞報道では頭から文科省のスキームを腐してはばからない。もはやはじめから底が割れていて国の足元、レベルを見透かされているようにも思える。

 しかし、一方でこうも思う。県教委の言動の随所に国家が同じ法律で治められていることを全く顧みないような態度だと感じることがしばしばなのである。「沖縄には沖縄のやり方がある」と彼らは本気で思っているんではないか。文科省が竹富町にペナルティを課すという「沖縄世論」とは逆ベクトルの解決策を示したさいの国への糾弾ぶりからは、彼らが如何に国家を信じていないのか、がよくわかった。

 彼らは法律よりも「沖縄世論」を上位に置いて振る舞っているのである。「万能無敵の沖縄世論」とそれをはばからない彼らの思考に違和感を禁じ得ないのである。一体、彼らは日本の教科書採択制度という大切な制度を自分たちの勝手を優先して葬るかもしれないのである。自分たちのそうした挙を一体どう捉まえているのだろう。自分たちのやっていることへの検証は伝わってこない。日本国のもとで同じ法令を守ってやっていきましょうという姿勢もあまり伝わってこないのである。

琉球自治区は絵空事か

 昨年8月の毎日新聞に「海を行く巨竜 転換期の安保2010 中国で『沖縄返せ』の声」という記事が載った。

 中国の歴史学者の間では、沖縄に対する中国の権利が残っている、日本の琉球併合に国際法上の根拠がない、といった主張が強まっているという記事だった。

 除勇北京大学教授などはそうした主張をする有力者の一人で、琉球併合のみならず、戦後の沖縄返還も国際法上の根拠はないと言い出した。

 黄文雄氏によると、昨年9月の漁船衝突事故のさい、中国で行われた反日デモを見ていると、「収回琉球、解放沖縄」と書かれた横断幕を掲げて行進する若者の姿があったといい、こういう横断幕はかつてのデモでは見かけなかった、というのだ。

中国の教科書のなかには、沖縄について清朝最盛期の版図に中国と書き込んだ上で「1879年、日本により占領」と紹介したものもあるそうだ。例の尖閣事件のさい「世界華人保釣連盟」が話題となったが香港紙に「中華民族琉球特別自治区援助準備委員会」の全面広告が掲載されたそうである。「日本は沖縄を不法占拠している」。こういう主張は既に中国から様々な形で発信され続けている。中国の覇権主義的な膨張政策を見ても、無警戒では済まされない。

改めて育鵬社採択つぶしの持つ意味を考える

 こうした出来事と今回の八重山教科書問題での沖縄県教委や竹富町の日本の法律を顧みないあの態度を重ね合わせてみると実に気がかりである。八重山地区では主権が現に脅かされ、危機感を抱いている。父祖伝来の自分たちの故郷は紛れもなく、日本に帰属するとはっきりと子供達に教えたい。中国の主張はおかしいとはっきりと書いた教科書で子供達に学んで欲しい。こういう願いを胸に、採択が行われ、法に基づく手続が進められたのだが、結果が出そうなあたりから沖縄メディアが騒ぎ出し雲行きが怪しくなった。県教委が反戦左翼と軌を一にするかのように目の敵にし始め、よってたかってのバッシングが執拗に続き、国家の裁定にも聞く耳を持たず、である。

八重山教科書問題でのこうした出来事が日本からの離反への一里塚にならなければいい、と願っている。しかし、沖縄を日本と切り離し、中国の影響下に置く。もしくは影響力を強める。そう願っている勢力がいて様々な活動がなされている以上、「一国二制度」「沖縄独立」などといった危惧は無根拠な空騒ぎなどではない。武力衝突ばかりが侵略ではない。むしろその気にさせながら、日本への不信感を煽り、一方で中国への不信感を和らげ、徐々に抵抗力を殺いでいき、いつのまにか無血で中国の一部にする間接侵略のほうが怖いのである。虎視眈々(たんたん)と狙われている。そうかもしれないと思ってぬかりなく警戒を怠らぬほうがいいことだけは間違いない。(安藤慶太・社会部編集委員)
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賛同国会議員441名(10月18日現在)

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…………………………………………………………………………

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……………………………………………………………………………

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……………………………………………………………………………

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