外国人に対する住民投票権の付与について

外国人に対する住民投票権の付与について

 外国人に対して住民投票権を付与しない立場に立つ場合、以下のような考え方ができるのではないか。

 国民主権の原理及び地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることから、憲法上、国政における選挙権のみならず、地方選挙権についても、外国人にその保障は及ばないと解されている。
 
最高裁判所は、外国人のうちでも永住者等について、地方選挙権を付与するか否かは立法政策の問題であると判示しているところ 、地方自治法及び公職選挙法は、地方参政権を日本国民たる住民に限るものと定めており(地方自治法第11条 ・第18条 、公職選挙法第9条第2項 )、

外国人に地方参政権を認めていないのであって、条例は「法律の範囲内」でしか制定することができないのであるから(憲法第94条 )、地方自治体が条例で外国人に選挙権を付与することはできない。

 現在一部の自治体で制定されている住民投票条例によると、①住民投票は、当該地方公共団体運営上の重要問題に係る意思決定について、住民の意思を把握するために行われるものである。
また、②住民投票を実施し、それが適法に成立するためには、地方選挙類似の厳格な手続を履践する必要がある。

さらに、③住民投票の結果は、住民による公式な意思表明として、極めて重い意味を有することになる。加えて、④長や議会は住民投票の結果を尊重する義務を有し、長や議会が適法に成立した住民投票の結果に従わない場合、大きな政治問題に発展し、長や議会のリコールにつながることさえある。

これらの点に鑑みると、住民投票の結果に法的な拘束力がないということを考慮しても、住民投票権は、選挙権に準じた重大な権利であると考えるべきであり、条例で外国人に対して地方選挙権を付与することができない以上、条例で外国人に住民投票権を付与することも妥当でないというべきである。

 なお、一般に、憲法上の請願権の保障は外国人にも及ぶと解されている。しかし、請願は単なる意見の表明であり、請願権は国や地方公共団体の機関に対し適法な請願の受理を要求し得るにとどまるのに対し、現在の住民投票条例は長や議会に対し住民投票の結果を尊重する義務を課している。

このような請願権と住民投票権の違いからすると、請願権の保障が外国人に及ぶからといって、住民投票権を外国人に付与すべきであるということにはならない。(衆議院法制局の見解)


【付記】最高裁判所平成五年(行ツ)第一六三号同七年二月二八日第三小法廷判決・民集四九巻二号六三九頁。裁判所のHP(http://www.courts.go.jp/)→裁判例情報で検索可能。

 「永住者等…について、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映すべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」、「しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって…」(傍点引用者)

 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

 日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

 日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
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