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米ソ両国提携がもたらした西安事件

前号では、満州事変後に日本に突きつけられたのが、満州国建設か国際管理かの選択であったことを述べた。

日本人は、満州地域において、数多くの被害に直面してきた。しかし、誰がその事件を調査し、犯人を処罰し、再発を防止するのか、責任の所在が不明確な、いわば無政府状態にあったのが当時の満州の状況であった。満州地域における中国の官僚や警察は、事件防止に積極的であるどころか、かえって反日事件を自ら起していたからである。この中国の反日姿勢を煽動していたのが米ソ両国であった。

わが国としては、満州地域に関して責任を果たし得る国家システムを早急に作り上げる必要があった。ソ連コミンテルンに指令された共産ゲリラの横行、アメリカの満州地域に対する野望、そのようなかで果たして満州を国際管理に委ねることができるのか。日本は、満州建国による新しい国家システムを作り上げ、責任ある行政組織の確立によって治安の回復を目指す選択をした。

日本は、「帝国は他国が認めると否とに拘わらず、自己の東亜における使命を守るために、全力を尽くさざるを得ざるに至れり」(広田外相)、「日本は諸外国にたいしては、常に友好関係の維持増進につとめているのはいうまでもないが、東亜における平和および秩序を維持するためには、日本の責任において単独になすことは、当然の帰結」(天羽外務省情報部長によるいわゆる「天羽声明」の一節)であるとして、満州問題を日本独自で解決しようとする独自路線を歩むこととなった。

一方、満州介入を阻止された米ソ両国は、満州国建設以降、米ソ一体となって日本に対する攻撃を開始した。その過程で起こり拡大したのが支那事変である。

支那事変については、日本の長期にわたる侵略戦争によって中国全土に戦火を拡大し、中国側に多大の物的人的被害をもたらした、との主張がなされている。
 
しかし、真相はまったく別のところにある。本号では、支那事変がなぜ勃発したのか、また、なぜ泥沼化したのか、米ソによるアジアにおけるヤルタ体制完成への道という観点にたって、明らかにしたい。

◆米ソ両国提携がもたらした西安事件

前号で、アメリカが、日本に対抗するため、昭和八年(一九三三)にソ連の承認に踏み切ったことを紹介した。アメリカがソ連と反日提携に動いた事実は、中国情勢に大転換をもたらすこととなった。

従来、中国では、国民党政府(アメリカ支援)と共産党(ソ連支援)とが中国の覇権をめぐってたがいに戦いを続けていたが、米ソ両国の反日提携によって、それまでソ連との関係強化はアメリカの支持を失う危険性があるとして否定的だった国民党内部に、ソ連との提携を容認する動きが生まれたからである。

たとえば、昭和八年三月、国民党政府は、ソ連に対して、米中ソ三国同盟を提案する申し入れを行なっている。また満州事変によって地盤の満州を追われた国民党の張学良も、昭和十一年(一九三六)になると、自ら延安で共産党の周恩来と会談、また共産党軍幹部の葉剣英と接触して、共産軍に食料や防寒衣や巨額の私財を送るようになり、共産党との関係を深めていった。

一方、ソ連の側も、昭和十年(一九三五)、コミンテルンの第七回大会をモスクワで開催し、米ソ国交回復を踏まえ、当面の敵を日本とし、それ以外の勢力と提携して、日本打倒に専念するという方針を打ち出し、この方針にのっとって、反日団体の結集をはかる「抗日民族統一戦線」の形成を決議した。

この決議に基づき、中国共産党は、国民党に対して内戦を停止し、政党政派をのりこえて抗日連合軍を組織するよう求める宣言(「八・一宣言」)を発表した。さらに国民党内の親日派のリーダーである行政院長(日本の首相にあたる)汪兆銘や交通部次長の唐有壬ら親日派要人に対するテロ攻撃を行なっている。

このようにして米ソの反日提携は、日本打倒のための国民党と共産党との提携、すなわち国共合作への動きとして具体化していった。そしてこの動きを決定的なものとしたのが、昭和十二年十二月に起こった西安事件、すなわち国民党の張学良による蒋介石に対する逮捕事件の発生である。
 
蒋介石の部下である張学良が、共産軍討伐作戦を指導するため西安にきた蒋介石を逮捕監禁し、共産党と提携して抗日戦争開始を迫ったとされている。しかし、事件の全容を知る張学良が真相を語ることを拒否したまま死亡し、他の関係者も自分にとって都合のよい回想録しか残していないため、西安事件については、今日に至るまで、謎の部分が多い。

しかし、以下に紹介する米ソ両国にかかわる動きは重要である。

?西安事件直後、日本が驚愕状態にあるとき、アメリカが、すばやく行動していること。すなわち、「西安事件ショック」によって、中国政府発行の公債が暴落するなど市場混乱のきざしが生まれると、ただちに中国にたいして金融安定のための援助を声明しているのである。

?蒋介石が、西安事件に対してアメリカはきわめて好意的であった、と証言していること。

?西安事件解決のために張学良から招かれた国民党要人が、蒋介石の義兄弟でありかつアメリカ資本と深い関係にあった浙江財閥の代表である宋子文、そして蒋介石の妻で同じく親米派であった宋美麗であったこと。

?蒋介石逮捕のニュースに狂乱し、蒋介石処刑を主張した中国共産党の毛沢東に対して、ソ連のスターリンが、自ら、蒋介石釈放と蒋介石のもとでの抗日体制の確立を命令してきたこと。

 ※蒋介石が監禁され残された国民党幹部の間で、張学良および共産党との対決、新しい指導者として親日派の汪兆銘を擁立しようとする動きがあり、その汪兆銘は日独中三国による防共同盟結成を目指しているとの情報が、スターリンのもとには入っていた。

?ソ連が西安事件直後の昭和十三年はじめに、中国政府に対して五千万ドルの借款を供与していること。

かくして西安事件は、結局、周恩来(共産党)、張学良(国民党親ソ派)、宋美麗・宋子文(国民党親米派)の話し合いが行なわれ、解決された。

なかでも宋子文の存在は重要である。もともと、国民党政府の軍事費は、政府支出の五〇パーセント前後を占めており、それを賄う主な財源は、宋子文率いる浙江財閥関係によって拠出されていた。それに加えて宋子文は、西安事件の話し合いのなかで、張学良への軍事費を浙江財閥で負担することを約束しているのである。すなわち、宋子文とは、蒋介石の権力を支える国民党軍の軍費を賄ってきた人物なのである。

経済学者の矢内原忠雄氏は、昭和十二年二月号の『中央公論』誌に発表した「支那問題の所在」において、西安事件の中心に宋子文がいたことに注目し、「由来浙江財閥は英米仏との間に資本関係が比較的濃厚であり、宋子文の親欧米主義はこの資本関係を反映するものであるから、西安事件の解決並に之を契機とする支那の国家的統一事業の背後には英米仏諸国の支持的態度が暗示せらるものと思われる」と指摘している。

したがって、国民党軍の軍費を賄ってきた宋子文が、アメリカとの強い提携をもとに、軍事費支出を条件に、蒋介石に対して、内戦から抗日戦争に切りかえることを認めさせたことになる。

これらの事実を踏まえると、米ソ両国の反日提携に基づき(ことによっては直接の関与のもとに)中国内部で反共政策を優先させていた蒋介石の路線転換をはかるため、西安事件が起こったのは明らかである。
 
蒋介石が釈放されて南京に帰った一カ月後、国民党政府と中国共産党とのあいだに協定が結ばれ、国民党の外交部長で親日家の張群が罷免されるとともに、国民党政府から共産党に毎月五十万元が支給されるようになり、第二次国共合作が成立した。

こうして反共の立場で日本との提携の道を模索していた蒋介石は、武力強要と資金源とによって一転して国共合作に踏み切り、日本に対抗することとなった。これが西安事件によってひきおこされた中国の大政変である。(椛島)

【アジアにおけるヤルタ体制】

米ソ両国提携がもたらした西安事件 (9月24日)
盧溝橋事件から上海事変へ (9月25日)
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日本の和平工作と米ソ両国の中国への軍事援助 (9月27日)
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  • Author:日本会議地方議員連盟
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     このたび、日本会議に所属する全国の地方議員が連携し、地方議会から「誇りある国づくり」を発信するため日本会議地方議員連盟を設立しました。(平成17年3月6日)

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