さらに両氏は、「政治的な問題に影響されたものだ」と指摘し、中国の対日歴史認識が多分に当局からの圧力によって煽動されたものであること、反日感情の高まりによって、南京事件研究が阻害されている実態を表明したものとして注目されるところだ。しかし待てよという態度こそ、日本のとるべき立場ではないか。
この研究者は、南京事件の研究に詳しい張連紅・南京師範大学教授(南京大虐殺研究センター主任)と程兆奇・上海社会科学院歴史研究所研究員である。両者はれっきとしたした政府当局側と見ることもでき、この講演内容そのものが中国の歴史認識が変更される兆候があるとは単純に判断することはできないものの、当然、当局も把握していることを考えると注目すべきであろう。
張氏は、南京事件の本格的な研究が開始されたのが、日中両国とも1980年代からで、20年位しかたっていないとし、とりわけ中国の研究は日本人研究者の主張に対抗するために始まったことを明らかにするとともに、従来、資料も3冊の本のみに依拠していることを明らかにした。
また程氏は、歴史的な事件については学術的な立場で研究すべきであり、人数は資料による根拠が重要だとして、従来の人数が信頼すべき資料に基づいていないことを明らかにした。
そもそも日中歴史共同研究の会合が開催されるようになったのは、あくまでも中国からの要請であり、日本からのものではない。従って対日関係をこれ以上悪化させてはならないという中国側の空気が背景にあることは明確であるが、いかに中国が「歴史」を政治的に利用しているかがよくわかる。
わが国としては、中国の歴史見直しのメッセージに右顧左眄することなく、新たな内政干渉の糸口を与えないことが大事であり、眉に唾して、中国研究者の表明内容の意味を注意深く読み取ることだ。
記事の末尾にある人類史という観点からの研究という言葉もよくわからない。(丸山)
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