1、自治基本条例とは
左派は地方分権一括法を契機に「自治基本条例」制定の動きが活発化している。この基本概念は、市民は「政府」だけではなく「地方政府」との2重契約を目論み、市民は政府における「憲法」と契約すると同時に地方政府に対して、「自治体の憲法」と位置づける「自治基本条例」と契約すべきことを強要し、その制定を画策している。
この基本条例は、自治体の最高規範として位置づけ、他の条例等の制定及び改廃に当っては、この条例の内容を尊重し、この条例に適合させなければならないことをうたっている。また、外国人参政権を認めたうえで、住民投票をその施策に反映させ、さらには国の政策と真っ向から反対する政策も盛り込む自治体さえある。
現在では、全国の約100自治体でこの制定の動きが広がっている。 これが制定されれば、議会を無視して市民(外国人をも含む左派による)で自治体の施策を推進することが出来るため、議会軽視・議会否定の「自治基本条例」と言われている。
2、自治基本条例の問題点
(1)条例の位置づけ(最高規範性)
●自治体の最高規範として位置づけ、他の条例等の制定及び改廃に当っては、この条例の内容を尊重し、この条例に適合させなければならない。
※改正規定に特別議決(出席議員の3分の2以上の賛成など)を定めることは、地方自治法第116条に抵触する恐れがある。過半数で制定した条例を3分の2でないと改正できないは矛盾。
※大和市では「この条例の改正に当っては、自治の基本理念及び自治の基本原則にのっとり、必要な借置を講じなければならない」との市民条例案を、議会の議決権に抵触するとの理由で、議会で削除している。
(2)用語(市民・自治など)の定義があいまい。
●市民の定義で、通勤者、通学者、活動団体、事業者などが含まれている。
1、居住者と非居住者を一括して「市民」と定義することは権利・義務の関係から問題がある。
?地方自治法第10条は「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の約務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」と定めており、住民とその属する普通地方公共団体との間には法的な権利・義務の関係が存在するが、非居住者には存在しない。
?また、地方公共団体が破綻した場合(夕張市の事例)、住民には応分の負担(増税・公共料金の値上げ・サービスの縮小)が求められるが、非居住者が求められることはない。
2、居住者を非居住者と同列に扱うのは、居住者たる住民軽視である。
3、国籍条項がなく、市民に外国人が含まれる場合は、市民の権利・義務、住民投票などで、内容が主権に関するものであれば憲法上問題が生じる。
●法令の自主解釈[市は自主的に法令の解釈及び運用を行う
1、法令の自主解釈権は、自治体に都合の良いように解釈するというニュアンスがあるが、法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないか。解釈するのは誰か。(市長・議会・市民・その他)市民の利益になるのか
2、法を軽視する風潮を生む(大和市の例では、顧問の大学教授が「違法といっても裁判を起こす人はいない」と発言したり、市民会議のメンバーが「クレームがついてから考えれば良い」などと発言している)
(3)自治運営主体の役割、権利、義務について
●「子どもの権利」について
1、この規定は「児童の権利条約」第12条の「意見表明権」を下敷きにしている。
2、市民の定義には年齢条件がないので、子供も市民に含まれており、文言によっては重複する規定となる。
3、子供には教育上、権利より先に義務を教えることが望ましく、権利だけ認めることは「わがまま」「勝手」を助長する恐れがある。
4、「子どもの権利」を定めると将来、「子どもの権利条例」制定の根拠となる恐れがある。
(4)行政運営の原則について
●市民参加の推進における市民参加条例
1、憲法前文の冒頭は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表を通じて行動し、」と定め、議会制民主主義(間接民主主義)を統治原理としている。従って、直接民主主義の一種である市民参加は、議会制民主主義という憲法の理念に反する。
2、委員会などの公募委員の任命については、教育委員の任命と同じように、市長の任命、議会の承認が必要ではないか。あるいは、無差別抽出した該当者のみに応募資格を方法がより好ましい。また、議員を委員とすることも考えられる。
3、パブリックコメントでは、どんな意見があるのかを知ることが出来るが、どの意見が市民の多数意見でするのかを知ることは出来ない。PI活動も同様である。多数意見を知るには、世論調査のように統計的な裏づけのある手法が必要である。
●苦情処理と相談窓口について
1、苦情処理と相談については、市の施策や事業など行政の権限の範囲内に限定すべきである。
(5)住民投票について
●住民投票は一種の直接民主制であるが、これには以下のような問題があり、安易に導入すべきではない。
1、住民投票は議会制民主主義という統治原理に反する
?憲法の理念に反する
・市長、議会の権限を侵害する
2、重要政策の意思決定が迅速にできなくなる
3、大衆迎合政治となる
4、投票結果(民意)が正しいとは限らない(間違えることが多い)
5、政治的に悪用される可能性がある
・市長や議会の責任逃れ
・パフォーマンスや売名行為(岩国の事例)
●すでに住民投票の代替手段がある
1、民意を知るためなら世論調査で可能
2、法に基づく直接請求
(6)常設型住民投票制度について
※この制度の導入は極めて危険であることは言うまでもないが、下記の問題と併せて検討すべき。
1、請求要件
?住民の3分の1(大和市)、6分の1(逗子市)以上の連署
※3分の1の連署は、地方自治法第76条のリコール請求に準じておりかなりのハードルが高いので、乱用を防止するうえで有効。
?議員定数の12分の1以上の賛成により提案し、出席議員の過半数の賛成により議決
※12分の1の賛成は、地方自治法第112条の議員提出議案の規定に準じたもので合理的
?市長の発議
・要件なし(大和市)
・審査会に諮問し3分の2以上の承認議決(逗子市)
※市長の発議に要件がないと、一人の個人が請求できることになり、住民投票が売名運動や選挙の事前運動に悪用される可能性がある。
(例:岩国市の空母艦載機移転受け入れ問題)
2、投票資格
※住民投票が実施されるのは重要案件であり、法的拘束力がなくとも、市長・議会はこれを尊重せざるを得ず、実質的な拘束力があるので、参政権と同等という前提で考えるべきである。
?住民(市に住所を有する人)
※投票資格をいわゆる広義の「市民」まで拡大することは、名簿を調整することが困難で不可。
?年齢制限(20歳・18歳ないしは16歳の場合もある)
※未成年者には義務の免除と権利の制限があり、法的行為能力に制約がある。権利のみを認めるのはおかしい。
※住民投票には特別重要な事案がかけられるので、結果に責任の負える成人年齢(20歳)とすべきである。
?外国人の扱い(永住者、特別永住者)
※外国人を認めることは事案によって憲法違反となる恐れがある。憲法では主権は国民にあるとしているので、国家主権にかかわる事案に外国人がかかわるのは憲法違反の恐れが強い。(例:基地問題(安全保障)、国民保護、治安・防災、教育など)
※結論としては、議員・市長の選挙権を有する者とすべきである。間接民主主義尊重の考えも整合性がある。
?成立要件
・特になし
・投票率の50%以上など
※投票率が低いと、市民総体の意向を反映しているか疑義が生じる。また、特定の利益団体の影響などバイアスがかかる恐れがあるので。一定の成立要件は必要。
?住民投票結果の尊重
※投票結果に法的拘束力を持たせるという考えは、法律上の権限配分と責任体制に抵触する。
※尊重規定を設ける場合は、市民・市議会・市長のいずれにも求めるのが公平か。
※一方、「住民投票の結果は、市長、市議会、行政機関を拘束しない」と定める案も考えられる。ちなみに、民主党の「憲法改正及び国政問題に係る国民投票法案大綱」の「国政問題国民投票」では「国政問題国民投票の結果は、国及びその機関を拘束しないこと」と定めている。議会制民主主義を尊重する立場からは、この法がまだ望ましい。
(7)非常設型(個別型)住民投票制度について
1、事案ごとに条例を定める
2、発議の要件
?有権者の50分の1の連署をもって住民投票条例制定の請求
※50分の1の連署は、地方自治法第74条の条例制定請求の規定に準じたもので合理的。
?議員定数の12分の1以上の賛成を得て条例を市議会に提出
?市長の発議
3、投票資格以降は常設型と同じ
※住民投票制度は問題が多いので認めるべきではないが、あえて「常設型」と「非常設型」を比較すると、議会制民主主義を尊重し、事案ごとに議会で審議して条例を定める「非常設型」の方が望ましい。
※大和市自治基本条例
大和市自治基本条例の第7章(厚木基地)の第29条では「厚木基地移転が実現するよう努めるものとする」とあるように国の政策の問題を条例で規定するなど憲法違反にも通ずる政策が明記されている。
※(自治基本条例についての日進市の見解)
市民は政府に全部信託しているわけではなく、残したものがあり、それを地方政府に信託しているのです。地方政府の行動は地方自治法に書いてありますが、政府に任せたものの一部を地方自治法としてルール化するのだけではなく、市民自身も地方政府(自治体)との間に社会契約を結ぶ(信託)必要があるということです。
しかし、この信託という地方政府との社会契約で何と何を契約したかということは、一覧表になっていません。政府への信託は憲法という形で一覧表になっていますが、地方政府の方にはありません。そこで、自治基本条例によってそれを表す必要があるというものです。このことが自治体の憲法と言われる所以です。

そこで、本会としては、これ以上、自治基本条例を制定できないためにも、地方自治法にメス(改善)をいれ、国と地方公共団体の役割を明確にする必要があります。
また、自治基本条例が問題であるとし、町田市や千葉の我孫子市がその条例に反対した動きもあり、この条例破棄に向けてご尽力いただきたい。
●地方自治法
例えば、住民の定義をさらに明確にする必要があるように、この地方自治法の検討が必要です。
現在、全国の自治体で自治基本条例制定へ向けた準備が行われています。そこで、制定された自治体、制定の準備が進められている自治体を把握されているかたはお知らせ下さい。
【各地域の主な自治基本条例】
札幌市自治基本条例
足立区自治基本条例
川崎市自治基本条例
他市の「自治基本条例」を見てみると
【自治基本条例に反対趣旨など】
●自治基本条例・修正案への反対趣旨
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