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首相が自衛隊最高司令官であることを知らない国~安保法制は日本の「現実的一歩」だ ジェームス・E・アワー

首相が自衛隊最高司令官であることを知らない国~安保法制は日本の「現実的一歩」だ ジェームス・E・アワー
産経新聞 2015.10.6

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 約20年前、私がたまたま日本を訪れていた最中に、自民党と社会党、新党さきがけが土壇場で連立政権を樹立し、社会党の村山富市委員長が思いもかけず首相に選出された。

報道陣は新首相の自宅に駆けつけ、自衛隊の最高司令官である首相になったことについてどう思うかと感想を聞いた。報道によれば、村山新首相は自らがそのような役割を担うことはないと否定したという。

 ところが、翌日になって村山氏は事務所を通じ、自衛隊は国会を通過した法律に基づいて設立されたので、その正当性を暫定的に容認すると述べた。

 《最高司令官としての首相の認識》

 さらに驚いたのは、5年前、民主党政権の菅直人首相が自衛隊幹部との意見交換会でのあいさつで、改めて資料を調べてみたところ、首相である自分が自衛隊の最高司令官であることを知ったと述べたことだ。

 これを聞いたとき、首相本人は一体だれが自衛隊の最高司令官だと思ったのだろう、と驚いた。天皇を最高指揮官と規定した明治憲法がまだ効力を持ち続けているとは思わなかっただろうと推察はできるが。
安倍晋三首相はもちろん、自らが日本の自衛隊の文民最高司令官であることを認識している。自国の防衛に失敗して多数の死者や甚大な国家的損害が出たりした場合には責任を問われる最高司令官である。

 安倍首相は、日本が直面する脅威をめぐる状況が、1972年に最低限の集団的自衛権の行使も許されないとした当時とは異なり、より不利になっていると認識した。そして、国の安全保障が脅かされ、他に手段がなく、他国と協力しての武力行使を最低限とする、との極めて制限された条件下で集団的自衛権の行使は容認される、とした2014年7月の閣議決定を実行するための穏当な法案を提出した。

 9月19日に成立した安全保障関連法案は、他の多くの国々が自国に認めているよりもはるかに限定された集団的自衛行動しか認めていないことは認識されるべきだ。

 《直接的脅威に手遅れになる》

 例えば、仮に北朝鮮がミサイルを発射して何千もの大阪市民を殺害した場合、米国は、自国の安全が直接的に脅かされたかどうかにかかわらず、大規模な通常兵力や、さらには核戦力をもって日本を支援することが可能だ。

 しかし、日本は新法の下で、自国が著しく脅かされない限りは自衛隊が米国を支援するのを認めていないし、特定の状況下で、自衛隊がどれだけの防衛能力を発揮し得るかにかかわらず、自衛隊が行使する手段を最低限にとどめている。

 とはいえ、これは一歩前進だ。なぜなら、この新しい法案が成立する前は、日本が行動できないことに起因して直接的な脅威にさらされた場合でも、日本は必要最低限の集団的な行動さえ禁じられていたからだ。

 最も明白なのは、北朝鮮から発射されるミサイルの事例である。これは明らかに現在の日本への深刻な脅威であるものの、日本が集団的自衛権を封じていた1972年には脅威ではなかった。

 2015年現在、北朝鮮のミサイルが日本の都市や日本の民間商船、自衛隊艦船を狙うよりも、日本海にいる米艦船を狙っているかもしれないため、日本領土や日本の船舶が標的であると明らかになるまでは日本が対応に踏み切れない。だがそれでは北朝鮮のミサイルが日本の標的に到達する前に破壊しようと効果的な行動を取るには遅すぎる。

 もし付近に日本の船舶がいなくても、米国の艦船は自らが攻撃を受けなかったとしても行動を取るだろう。だが、1972年の方針では日本は手遅れになるまで行動が取れないのだ。

 《確実に強化される抑止力》

 日本に対する米国の安全保障は、日本の新法の下でも日本による米国に対する安全保障よりもはるかに強力だ。

 だが、新しい安全保障関連法は、控えめではあるが日本の安全保障をより確実にする現実的な一歩だ。

 米国から日本への保障はより手厚いが、ここでより重要なのは、もし北朝鮮や他の脅威国が、日本が脅かされれば米国と日本は共同行動を実施すると知れば、こうした脅威に対する抑止力は確実に強化されるということだ。

 また、日本の安全保障に影響が及ぶような状況下で日本が米国を支えることが可能であると米国が知れば、米国が日本を守るために乗り出してくる公算はより大きくなるだろう。

 逆に、日本の安全が直接脅かされたときに、日本が米国を支援してともに戦わないなら、米国は異様に感じるだろう。

 1972年以降、安全保障環境が悪化しているのは懸念される事態だ。だが、現職の日本の首相が、状況の変化や、日本が深刻な脅威にさらされていることを理解しているというのはすばらしいことだ。(ヴァンダービルト大学名誉教授)
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…………………………………………………………………………

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尖閣諸島上陸許可要望議員署名


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