核兵器禁止決議、日本はなぜ「棄権」ではなく「反対」だったのか ノンフィクション作家・門田隆将

核兵器禁止決議、日本はなぜ「棄権」ではなく「反対」だったのか ノンフィクション作家・門田隆将
産経新聞 H28.11.6

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 それは多くの国民にとって衝撃だっただろう。

 核軍縮を扱う国連総会第一委員会が、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」の交渉開始を明記した決議案を賛成多数で採択したニュースである。オーストリアなどが出したこの決議案に日本が「反対した」というのである。

提唱した国々からは、「被爆国なのになぜ?」「残念」といった声が飛んだ。「核兵器国と非核兵器国の亀裂を深め、核兵器のない世界の実現が遠のく」という菅義偉官房長官の談話を聞いても多くの国民は納得できなかったに違いない。では、その「なぜ」に新聞はどう答えたのか。

 日本が「反対票」を投じたことを評価したのは、読売と産経で、朝日と毎日は疑問を呈した。

 読売は、〈肝心な点を先送りにし、多数決で条約作りを進めても、実効性は期待できまい〉(10月29日付社説)とし、産経は、〈安全保障の根幹を米国の「核の傘」に依存する日本は、

決議案に反対票を投じた。国民を核の脅威から守り抜く責務がある、唯一の被爆国の政府として、妥当な判断といえよう〉(同30日付主張)と書いた。
一方、毎日は、〈対立が深いのなら、なおのこと日本は決議案に反対すべきではなかった。

反対しておいて、今後、橋渡し役を果たすと言っても、どれだけ説得力を持つのか疑問だ〉(同29日付社説)、朝日も〈反対表明は、より核保有国に近い立場をとると宣言したに等しい。理解しがたく、きわめて残念だ〉(同日付社説)と厳しく指弾した。

 日本はこの決議の前に、核兵器不拡散条約体制の強化を謳(うた)った「核兵器の全面的廃絶」に向けた決議案を米国を含む110カ国と共同提起して採択されている。実に23年連続の採択だ。

 日本は自分が提案したものでなければ、反対票を投じるのか。どの部分が核保有国と非保有国との亀裂を深めるというのか。残念ながら新聞には、その答えと、日本が反対票を投ずるまでの内幕は書かれていなかった。

 この決議案反対は、米国の核の傘に守られている日本が、その「核の抑止力」を公式に認めたことを示している。被爆国でありながら、その原爆を落とした国の「核抑止力」に頼らなければならない日本の現実と苦悩がそこにはある。

 だが、では、なぜ「棄権」ではなく「反対」だったのだろうか。米国がたとえ反対への圧力をかけてきたとしても、唯一の被爆国として、「仰(おっしゃ)ることはわかります。でも反対ではなく、棄権にまわらせてもらいます」と、なぜ言えなかったのか。

米国に対しても、感謝すべきは感謝し、しかし、言うべきことは言わせてもらう。それが被爆国としての日本が国際社会で果たすべき役割ではないだろうか。その視点に立って謎の解明に挑んだ新聞は一紙もなかった。

国連の中の激しい駆け引きと鍔迫(つばぜ)り合(あ)いの内幕を報じる新聞の登場をぜひ、待ちたい。

                   


【プロフィル】門田隆将

 かどた・りゅうしょう 昭和33年、高知県出身。中央大法卒。ノンフィクション作家。最新刊は、リーダーの本来あるべき姿を実録で描いた『リーダーの本義』。

門田隆将(かどた・りゅうしょう)

1958年高知県安芸市生まれ。
本名・門脇 護(かどわき まもる)。

安芸第一小学校、土佐中学、土佐高校、中央大学法学部政治学科卒業後、新潮社に入社。週刊新潮編集部に配属され、以後、記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月に独立。

週刊新潮時代は、特集班デスクとして18年間にわたって政治、経済、歴史、司法、事件、スポーツなど、さまざまな分野で800本近い特集記事を執筆した。

デスク時代から「門田隆将」のペンネームで『裁判官が日本を滅ぼす』(新潮社)、『甲子園への遺言—伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』(講談社)、『ハンカチ王子と老エース』(講談社)などを出版した。『甲子園への遺言』は、NHK土曜ドラマ「フルスイング」(主演・高橋克実)としてドラマ化され、ベストセラーとなった。

独立に伴い、ペンネームを解消し、本名での執筆に切り替えようとするが、出版社側がこぞって「門田隆将」での執筆継続を要請したため、そのまま「門田」での執筆をつづけている。

2008年7月、独立第1作目として光市母子殺害事件の9年間を描いた『なぜ君は絶望と闘えたのか—本村洋の3300日』(新潮社)を発表。2008年11月には、『神宮の奇跡』(講談社)、2009年3月には、初の対談本である『激突!裁判員制度 井上薫vs門田隆将』(WAC)を出版。

2009年7月、初めての歴史ノンフィクションとなる『康子十九歳 戦渦の日記』を文藝春秋から上梓。2010年4月、陸軍中将・根本博の知られざる生涯を描いた『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』を集英社から刊行した。2010年7月、「新潮45」に1年間連載した『スポーツドキュメント「あの一瞬」』をもとに新潮社から『あの一瞬 アスリートはなぜ「奇跡」を起こすのか』を出版。翌8月、集英社から日航機墜落事故後25年の遺族の闘いを描いたノンフィクション『風にそよぐ墓標-父と息子の日航機墜落事故』を刊行した。

2010年9月、『この命、義に捧ぐ』が「第19回山本七平賞」(PHP研究所主催)を受賞した。同月、『なぜ君は絶望と闘えたのか』を原作として、WOWOWが主演・江口洋介、監督・石橋冠で特別ドラマを制作し、前・後編で放映した。なお同作品は、2010年度の文化庁「芸術祭」ドラマ部門大賞を受賞した。

2011年3月、台湾で『この命、義に捧ぐ』の翻訳本『為義捐命』が刊行され、初めて浮かび上がった日台の歴史秘話に台湾国民の注目が集まっている。同4月、祖国アメリカに零戦で特攻して戦死した日系2世・松藤大治海軍少尉の知られざる生涯を描いた『蒼海に消ゆ—祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯』(集英社)を出版した。

2011年8月、「大正100年」と「太平洋戦争開戦70周年」を記念して『太平洋戦争 最後の証言(第一部 零戦・特攻編)』を小学館から刊行した。12月には、第二部の『陸軍玉砕編』、2012年4月には、第三部の『大和沈没編』を刊行し、「最後の証言」シリーズを完結させた。

2012年9月、小学館文庫から『尾根のかなたに 父と息子の日航機墜落事故』を刊行。同作は、WOWOWのドラマWスペシャル『尾根のかなたに』(主演・伊勢谷友介、監督・若松節朗)の原作となった。


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