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「報道声明」にみる領土交渉の裏側 安倍晋三首相がプーチン大統領から勝ち取れなかったもの…

「報道声明」にみる領土交渉の裏側 安倍晋三首相がプーチン大統領から勝ち取れなかったもの…
産経新聞 H29.1.4

ぷーてんんん
きしやかいけん
日露首脳会談前にロシアのプーチン大統領(左)を出迎える安倍晋三首相=平成28年12月16日、首相官邸(斎藤良雄撮影)

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は12月15、16両日、山口県と東京で計6時間以上におよぶ首脳会談に臨み、その成果として北方四島での共同経済活動に関する「報道向け声明」を発表した。

声明には難解な“役人言葉”が並び、一見しただけではその価値は判断しにくい。しかし、その文言や行間を注意深く読み解けば、北方領土交渉の裏側が浮かび上がる。安倍首相はプーチン氏から何を勝ち取り、何を譲ったのか。

 声明は5つの段落で構成される。最初の段落には、択捉、国後、色丹、歯舞と北方四島全ての島名が明記された。そして「日露による共同経済活動の協議開始が平和条約締結に向けた重要な一歩になり得る」とも記されている。

これは、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の対象が、北方四島全てに及ぶということを暗示している。

 プーチン氏は訪日直前のインタビューでも「日露間に領土問題は存在しない」と明言するなど、厳しい姿勢を崩していない。

有効性を認めている昭和31(1956)年の日ソ共同宣言も、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すという内容でしかなく、「4島は日本固有の領土」とする日本側の主張とは大きな溝があった。

 今回の声明に択捉、国後両島も含めて明記し、改めて平和条約交渉と関連付けれたことは、ロシア側から日本が引き出した譲歩ともいえる。

よびかけにか
声明の最後の段落では「共同経済活動に関する交渉の合意」と「平和条約問題を解決する真摯な決意」を対で結んでいる。どちらが先でも後でもなく、二つを同時並行で進めると示唆している。

ロシア側が利益を得る共同経済活動が動かなければ、日本が望む平和条約交渉は進まないという見方を暗に否定しているのだ。

 さらに「真摯な決意」の主語は安倍首相とプーチン氏にほかならない。2人の在任中に平和条約問題を解決するという意思の表明で、領土交渉に乗り気でないプーチン氏を土俵に引き引きずり出したとも読み取れる。

安倍首相は「決意」という文言を声明に盛り込むようプーチン氏に強硬に要請したとされる。

 4段落では、共同経済活動の調整や実施に関し「日本およびロシアの立場を害するものではない」としている。

 北方四島での共同経済活動は、これまでの日露交渉でも浮かんでは消えてきた経緯がある。仮に日本がロシアの法律の下で経済活動を行えば、ロシアの主権を認めることにつながりかねない。

そのため日本は「法的立場を害さないことが共同経済活動の前提条件」と主張してきており、これまではその厚い壁を崩すことができなかった。声明からは双方の立場の違いを理解しつつ、解決に向けた道筋をつけようという意図が滲む。

安倍首相は双方の立場の違いを乗り越え、北方四島で共同経済活動を実施するためには「特別な制度」が必要だと判断した。それが声明の3段落に「国際約束の締結を含む実施のための法的基盤」として書き込まれている。

外務省幹部によると「国際約束」は国会承認を伴う条約という形になる可能性が高いという。ただ、具体的な中身についての記述はない。詳細は今後、日露両政府で協議していくことになるが、難航は必至とみられる。

 日本側が勝ち取れなかったものもある。日本側は従来から「四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する」との基本的な立場を示しているが、北方領土に関し「帰属」「返還」「主権」といった直接的な文言は一切見当たらない。

ロシア側の激しい抵抗にあったとみられる。首脳会談前は色丹島と歯舞群島の「二島先行返還」などが注目を浴びたが、とてもそこまで協議できる環境ではなかったというのが実情だ。

 さらに厳しい見方をすれば、これまで紹介してきた共同経済活動に関する日本側の成果は、声明の好意的な解釈によって成り立つものでしかない。

おそらくロシア側は全く別の解釈をして、国内向けに説明していることだろう。ロシアの立場から「日本に大したものは譲っていない」と解釈しようと思えば、残念ながら十分できるのだ。

例えば、平和条約問題を解決する両首脳の決意は明記されたが「四島の帰属問題を解決した上で」という日本側の前提となる主張はどこにも書かれていない。

声明の成果を説明する日本外務省の関係者にこの点を問いただすと、急に口ごもてしまう。ロシアにとっては、あくまでも平和条約を締結した後に歯舞、色丹両島の引渡しについて協議するとした日ソ共同宣言が基本だ。

声明はロシアの従来の主張の域も出ていないともくみ取れる。

 こうした観点から、領土問題はほとんど進んでいないとの評価も少なくない。とはいえ、安倍首相とプーチン氏が共同経済活動の協議を開始することで合意したことは事実だ。

この蟻の一穴を着実に広げ、北方領土の返還に結びつけられたとき、声明ははじめて「重要な一歩」として歴史的評価を受けることになる。

(政治部 石鍋圭)

【「共同経済活動」に関する報道向け声明全文】

 1 安倍晋三日本国総理大臣及びV・V・プーチン・ロシア連邦大統領は、2016年12月15日-16日に長門市及び東京で行われた交渉において、

択捉島、国後島、色丹島及び歯舞諸島における日本とロシアによる共同経済活動に関する協議を開始することが、平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るということに関して、相互理解に達した。

かかる協力は、両国間の関係の全般的な発展、信頼と協力の雰囲気の醸成、関係を質的に新たな水準に引き上げることに資するものである。

2 安倍晋三日本国総理大臣及びV・V・プーチン・ロシア連邦大統領は、関係省庁に、漁業、海面養殖、観光、医療、環境その他の分野を含み得る、上記1に言及された共同経済活動の条件、形態及び分野の調整の諸問題について協議を開始するよう指示する。

 3 日露双方は、その協議において、経済的に意義のあるプロジェクトの形成に努める。調整された経済活動の分野に応じ、そのための国際的約束の締結を含むその実施のための然るべき法的基盤の諸問題が検討される。

 4 日露双方は、この声明及びこの声明に基づき達成される共同経済活動の調整に関するいかなる合意も、また共同経済活動の実施も、平和条約問題に関する日本国及びロシア連邦に立場を害するものではないことに立脚する。

 5 両首脳は、上記の諸島における共同経済活動に関する交渉を進めることに合意し、また、平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明した。



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コメント

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極東共和国(1920~1922)
ロシア革命のどさくさにシベリアに進出した日本に対するため、ソビエト政権が建てた緩衝国家。日本が撤兵すると存在意義を失いソビエトに吸収された。

北方領土返還が無理なら千島サハリン共和国という緩衝国家でもええやん


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