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小池百合子知事を提訴 豊洲移転めぐり水産仲卸業者ら 「延期は不当」と損害賠償求める

小池百合子知事を提訴 豊洲移転めぐり水産仲卸業者ら 「延期は不当」と損害賠償求める

こいけ小池百合子東京都知事(古厩正樹撮影)

 豊洲市場への移転問題を巡り、移転を延期した東京都の小池百合子知事の判断は不当で、必要のない維持管理費がかかっているとして、

築地市場で水産仲卸を営む生田与克氏ら都民7人が6日、小池知事らに約1億8千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 訴状によると、小池知事は安全性への懸念から移転を延期したが、豊洲市場の敷地は法令上の問題はないため「知事としての裁量を逸脱している」と指摘。

1日約500万円の維持管理費が生じており、「合理性の全く認められない無駄な支出だ」とした。

 今回の請求は今年1~2月に生じた豊洲の維持管理費が対象。生田氏らは4月、移転延期に伴う支出の返還を小池知事らに求める住民監査請求を起こしたが、都監査委員が却下していた。

今後の支出も追加で監査請求し、退けられれば住民訴訟を起こすとしている。

6000億円かけた豊洲を壊して更地にすると、小池百合子氏周辺から聞こえてきた 「都民ファースト」は都政へのチェック機能を果たせるのか


さくらい櫻井よしこ氏

 東京都知事の小池百合子氏は「兵法」が好きなようだ。本紙に執筆中の「女子の兵法」では連載3回までで既に2回、「孫子の兵法」から「彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あやう)からず」を引用している。

 中国が人民解放軍必読の書とした「孫子の兵法」第三篇「謀攻」の中にこの言葉はある。その意味は謀攻、すなわち謀りごとをもって攻めることを至上の勝ち方とする考えだ。

 謀攻を説く小池氏は偉大な東京市長、後藤新平に匹敵する足跡を残したいと、あふれるような意欲を示す。

 大変に結構だ。そうした大望、野望の実現には優れた構想、節目節目の賢い決断、そして指導力がなくてはならない。都知事就任から10カ月、いまだ構想を示し得ず、決められない知事であり続ける限り、21世紀の後藤新平は見果てぬ夢ではないのか。

 政治評論家の屋山太郎氏は環境相時代の小池氏から「レガシー作り」への協力を頼まれた。当時、水俣病の公式確認から50年を迎えたにもかかわらず、救済されず放置されていた患者は少なくなかった。屋山氏は、水俣病患者の救済を成し遂げたいという小池氏の意向を意気に感じた。

小池氏は屋山氏、柳田邦男氏、加藤タケ子氏らそうそうたる人材10人を招集、有馬朗人元東大総長を座長とする私的懇談会を設置した。懇談会委員は約1年半かけて、水俣病発症の現場などを訪れ、多くの患者の声を聞いた。

 柳田氏が中心になってまとめた提言は行政の枠組みに縛られない根本的、本質的な議論に基づき、「日本の行政が暗黙のうちに踏襲してきた行政のパラダイムの転換を迫る」優れた内容だった。

 国家行政の制度改革につながる根本的問題を提起する一方、懇談会は患者救済が進まない眼下の障害を是正すべきだと考えた。彼らは2つ以上の症状がなければ患者として認定せず救済策も施さないのでなく、症状がひとつでも救済できるように判断基準の緩和を主張した。

 柳田氏らがこうして平成18年9月に向けての取りまとめに心血を注いでいた間、小池氏はこの問題をどう考え、何をしていたのか。同年3月16日、参議院環境委員会で氏は「(水俣病患者か否かの)判断条件の見直しは考えていない、この点をもう一度明らかにしておきたい」と答弁していたのだ。

小池氏の心は既に離れていたのか。大臣として指導力を発揮することもなく、役人の意見に従ったのか。他方、懇談会では激しい軋轢が生まれた。委員の亀山継夫元最高裁判事は「部屋が割れるような大声で」抗議した。屋山氏は役人の言うなりの小池氏に業を煮やし、事務次官の炭谷茂氏に強く苦言を呈した。

 「クールビズの思いつきだけじゃ、首相にはなれないと、小池氏に言っておけ」

 だが患者に背を向ける事務次官を、小池氏は大事にした。氏は後に防衛大臣となり、即、事務次官のクビを切ったが、その間の事情もつまびらかにした『女子の本懐 市ヶ谷の55日』(文藝春秋)で、彼女はこう書いている。

 「必要な人は長くやっていただくこともある。環境大臣の際に、三年半にわたって炭谷茂次官を引き止めたのも私である」

 なるほど。では、小池氏が患者救済のためにしたことは何か。提言書の要旨を閣議に報告した。次に障害者用の小規模作業所と似た、水俣病患者の療養と養護施設用の建物をひとつ造った。箱造りは行政にとって一番格好がつく目に見える実績なのだろうか。

さて、過日の6月1日、小池氏は自民党を離党し、「都民ファーストの会」代表に就いた。同党への支持率が低迷する中、7月の東京都議会選挙での議席拡大を狙っているのは明らかだ。

 この小池氏の手法を元宮城県知事の浅野史郎氏は「不健全」だと、以下のように批判する。

 議院内閣制の国政では、国民が選んだ国会議員が首班指名によって総理大臣を決定する。他方、地方自治体は知事と地方議員を住民が直接選挙で選ぶ二元代表制である。地方自治体では知事と議会はおのおの独立した存在で、議会全体が健全野党として知事をチェックするのが本来の姿だ。

 この二元代表制の下で、ファーストの会は、小池都政へのチェック機能を果たし得るのか。同会は公約で、都政最大の関心事、築地市場の豊洲移転について、「知事の立場を尊重する」とうたっている。小池氏への白紙委任宣言である。都議一人一人は何万人もの有権者の代表のはずだ。重要な責務を担うべき政治家集団が、科学的に安全な豊洲市場への移転さえ自ら決断できず、小池氏に従うというのか。ファーストの候補者は自ら考えられないのか。

小池氏は、自民党政治を「忖度政治」だと非難した。だが、彼女の都民ファーストの会こそ、知事の顔色を見る「忖度都議会」そのものを目指しているのではないか。

 過日訪れた秋田県の人々が心底、怒っていた。都民ファーストと言うが、秋田県の子供たちは高校まで、秋田県が教育し育てる。高校を卒業して上京し、東京に住み、古里の秋田から人がいなくなる。東京は昔から地方の人間が流入して創り上げてきた町だ。それを、都民だけを考えて「都民ファースト」とはなんという恩知らずかと。

 6000億円かけて建てた豊洲を壊して更地にする考えも小池氏周辺から聞こえてくる。6000億円は秋田県の年間予算だ。それを壊すという発想は何と尊大か、と。小池氏に猛省を促すゆえんだ。


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