「臆病者の日本が核兵器保有を…」橋下徹氏、北朝鮮核・ミサイル問題の“超剛速球”論理

「臆病者の日本が核兵器保有を…」橋下徹氏、北朝鮮核・ミサイル問題の“超剛速球”論理

はしもと核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の労働新聞が5月15日に掲載した新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験に立ち会う金正恩朝鮮労働党委員長(中央)の写真=共同。国際社会が対応に苦慮する中、橋下徹氏は「北朝鮮に核保有をいったん認めてやってもいいじゃないか」と語るが…

 「北朝鮮に核保有をいったん認めてやってもいいじゃないか」「臆病者の日本は核兵器保有の検討も俎上に載せざるを得なくなる」-。

かつて日本維新の会の代表として型破りな言動を繰り広げた橋下徹弁護士=元大阪府知事・大阪市長=が、国際社会の再三にわたる警告を無視して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮問題で、“爆弾発言”をぶち上げた。

一昨年12月に政治家を引退した後、世界を視察。北朝鮮のミサイル連続発射で朝鮮半島をめぐる緊張が高まる中、韓国・ソウルを訪れるなどして持論をツイッターやブログで盛んに発信している。

米国をはじめとする国際社会が対応に苦慮している北朝鮮の核・ミサイル問題に対する橋下流の“妙案”とは-。

「北朝鮮に核保有を認めてやってもいい」

 橋下氏の発言でインターネットがざわついたのはソウル滞在中だった4月28日だった。

 米トランプ政権による北朝鮮への先制攻撃の可能性が取りざたされる中、自身のツイッターに《ソウルでは普通の暮らしが営まれている。

この普通の市民の人生を北朝鮮のミサイルで犠牲にするくらいなら、北朝鮮に核保有をいったん認めてやってもいいじゃないか。

その上できっちりと核の均衡を保つ。北朝鮮を叩くのであればもっと早くやるべきだった》と書き込んだ。

 ネットの反応は、一部の支持を除き、大半が反対意見。フォロワーからも《この件だけは反対します》

《甘過ぎます!一度認めたら、あとは暴走有るのみの国ですよ!》などと疑問視する書き込みが相次いだ。

その後、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権は5月29日、3週連続となる弾道ミサイルの発射を強行した。

北朝鮮のミサイル発射は祖父、金日成(キム・イルソン)と父、金正日(キム・ジョンイル)時代の1984~2011年12月までに計31回だったのに対し、

金正恩体制に入ってからは5年余りで70回を超えている。今年だけで既に12回目だ。

 北朝鮮は米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、核弾頭を搭載することを目指しているとみられ、米トランプ政権は原子力空母のカール・ビンソン、

ロナルド・レーガンなど3隻を朝鮮半島周辺に展開。中国に北朝鮮への制裁強化を働きかけるなど圧力を強めている。

代案は「日本の自衛力を高める」

 橋下氏の「ソウルリポート」はその後も続き、計22回。北朝鮮の核保有を認める-以外にも、《今回のチキンレースは北朝鮮の勝ちだ》

《政治家のメンツ、威勢のイイかっこつけインテリのための朝鮮半島の非核化になっていないか》など刺激的な言葉が並んだ。

 反響は大きかったようで、「PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)」で連載中のブログ「橋下徹通信」でも熱心に北朝鮮問題を取り上げ、自身の考えの解説に努めた。

 4月19日付のブログでは、北朝鮮のミサイルが既に日本を射程に収めている事実を前提に、「世界秩序の安定のために日本がミサイル攻撃を受けることを甘受できるか」と問いかけて議論を展開した。

「甘受できない」との立場を表明し、その結果として「究極的には北朝鮮の核保有を認める結論にもなる」と記した。

今の状況で北朝鮮を叩くのはリスクが大きすぎるとの判断から、代わりに「日本の自衛力を高める」として、

その方策として(1)敵基地攻撃能力を高める(2)非核三原則「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」のうち「持ち込ませず」を削除して米国との核シェアを検討(3)集団的自衛権のレベルアップ-を掲げた。

 現実的な安全保障論を議論することすらはばかることが少なくない戦後日本の言論空間では、「非核三原則」の放棄に言及しただけでも物議をかもしそうだ。

 さらに、橋下氏は続く4月26日付のブログで「日本は(北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制するために)主体的に何ができる?」と自問して、

その答えとして「潜在的に核兵器保有能力があることを示唆する」という核ヘッジング論に踏み込んだ。

 「日本は核武装なんかしたくない。NPT(核拡散防止条約)体制を守りたい。しかし北朝鮮が核兵器を保有するなら臆病者の日本は核兵器保有の検討も俎上に載せざるを得ない」という論理を展開するのだといい、

「かなりのハレーションも起きる超剛速球だけど、やってみる価値がある」と書き込んだ。

北への先制攻撃には大反対

 5月2日付のブログでは、大国間の力のバランスを取ることで平和と安定を維持する国際政治学の概念「勢力均衡」を用い、

「仮に北朝鮮が核兵器を保有した場合でも東アジアの勢力均衡が保たれればいい」と言及。

北朝鮮の核兵器の保有がもたらす力のバランスの変化は、日本や周辺国が自衛力を強化することで「十分に是正できる」とした。

その上で、朝鮮半島が米国・中国・ロシア・韓国・日本の各勢力がぶつかる最前線となってきた歴史的経緯を踏まえ、

むしろ「アメリカの攻撃によって金正恩体制が崩壊することの方が、東アジアの勢力均衡を崩してしまう」と懸念し、

「何よりも金政権の後に安定した政権が樹立される保障も全くない」と指摘した。

 さらに「北朝鮮が核兵器を保有したことだけで、日本や韓国の市民生活が直ちに崩壊するわけではない」とも主張した。

 核兵器の保有を阻止するために北朝鮮を攻撃し、「日本や韓国がミサイル攻撃を甘受するなどアホらしい」と言及。

「トランプ大統領が行っている北朝鮮への圧力は、周辺国を巻き込みながら、金正恩と対話し譲歩を引き出すための環境作りのところで絶対的に留めるべきであることを、日本国民はしっかりと認識すべきだ」と結び、

北朝鮮への先制攻撃に反対のスタンスを強調している。(6月5日掲載)
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