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日報公開で自衛官に危機 「行政文書」扱いは世界の非常識

日報公開で自衛官に危機 「行政文書」扱いは世界の非常識

4/16(月) 7:00配信

産経新聞

 陸上自衛隊のイラク日報問題で防衛省が批判の的になっている。国会や情報公開請求に「存在しない」とした日報が見つかったのだから、文書管理のあり方が厳しく問われるのは当然だが、そもそも自衛隊の日報は開示の対象とされるべきなのか。最前線の自衛官をみすみす危険にさらす行為を、国民は本当に望んでいるのだろうか。

 「日報には警備要領、弾薬の数、隊長、副隊長の分刻みの行動予定、さらには週間の業務予定表が書いてある。これをどんどん公開することが本当にいいのか。私がテロリストだったら最も欲しい情報だ」

 12日の衆院安全保障委員会で、こう訴えたのは自民党の中谷真一衆院議員だ。元陸上自衛官で、最精鋭部隊「第1空挺団」に所属していた中谷氏の危機感は全自衛官に共通するだろう。

 日報とは、現地部隊が上級部隊に対して行う日々の定期報告を指す。最前線の生の活動記録で、軍事的には「戦闘速報」に位置づけられる。それがまとめられて「戦闘詳報」となり、やがては平和への教訓を含む「戦史」に編み込まれる。

 初代イラク復興業務支援隊長を務めた自民党の佐藤正久外務副大臣は、こう語る。「日報がなければ防衛相や上級部隊の指揮官は的確な状況判断ができない。それは現場部隊にとっても、食料や装備品などで適切な補給支援を受けられないことを意味する。死活的に重要だからこそ、イラク派遣時にはどんなに任務が厳しく寝不足の中でも正確に日報を送り続けた」

 海外では軍事に関する文書は一定期間は完全不開示とし、数十年後に開示するケースが主流だ。それに対し自衛隊の日報は、ほかの省庁の書類と同じように「行政文書」として扱われる。国会議員の要求や情報公開請求があれば基本的に開示しなければならない。

 防衛省のイラク日報問題は、昨年稲田朋美防衛相が辞任に追い込まれた南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題に続く失態で、ずさんな文書管理には閉口するしかない。

 小野寺五典防衛相は「膿を出し切る」と強調し、早期の全容解明と再発防止の徹底を約束した。発見した日報を連日のように公表し、約1万4千ページのイラク日報を近く開示する方針だ。

 一方で、自衛隊の日報が開示対象となるリスクについての議論は置き去りにされたままだ。

 中谷氏が指摘するように、敵対勢力からすれば自衛隊の日報は垂涎の的だ。わざわざ手の内を明かしてくれるのだから、日本は「おめでたい国」に映っているに違いない。情報開示の際に「国の安全や外国との信頼関係を害する情報」は黒塗りにできるが、ささいな情報であっても敵を利することに変わりはない。

 情報公開請求への対応も大きな負荷になっている。防衛省には年間約5千件もの請求が寄せられ、そのたびに開示、不開示の判断や黒塗り作業に多くの時間と労力が割かれる。請求は1件につき300円でできるため、意図的、波状的に開示請求を起こし、防衛省・自衛隊の機能をパンクさせることも不可能ではない。

 佐藤氏はこんな懸念も口にする。「日報は貴重な資料であるにもかかわらず、悪い形で注目されてしまった。部隊が日報を簡素化したり、国会提出用に二重日報を作成するようなことが起きなければよいが…」。そうなれば本末転倒だ。

 情報公開は民主主義の根幹で、自衛隊の活動にも透明性が求められる。しかし国防を担う組織である以上、一定の機密があることを国民もメディアも理解すべきではないか。

 小野寺氏にも注文を付けたい。スピード対応で再発防止に取り組む方針には賛同するが、問題のない日報まで即日公表する姿には、どこか浮足だった印象も受ける。「情報公開に失敗した稲田氏の二の舞いは避けたい」との保身からの行動とは思わないが、腰を据えた対応が必要だ。

 小野寺氏は13日の記者会見で、日報が行政文書として扱われることの是非を問われ「法制度の中で情報公開が位置付けられている以上、それに従って自衛隊を運用していく」と答えた。法やルールに問題があれば、それを正すことも政治の責任だ。文書管理の徹底とともに、そうした本質論にも踏み込んでほしい。(石鍋圭)

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